エコシステム

2023.06.12 07:15

まるでSF。自立分散型海上都市「Dogen City」は新たなフロンティアとなるか

プレスリリースより

気候変動に強く、衣食住に加えて、情報、電気、資源をも完結させた海上都市「Dogen City」の事業化構想を海上建築スタートアップN-ARK(ナーク)が発表し、実現へ向けた課題解決のための産学官からなるNew Oceanコンソーシアムを立ち上げました。国内外で事業を進めつつ2029年に海外でのDogen City竣工を目指します。

Dogen Cityは、医食住情電資同源をコンセプトとした直径約4キロメートルのリング状の自立分散型海上都市です。1万人が暮らし産業を展開できる現代都市のすべての機能を備えますが、住みやすさは「小さな村のような雰囲気」になるといいます。

海に浮かぶリング部には生活インフラと公共住宅が作られ、津波などから内湾を守る役割を果たします。内湾には自由に移動できる浮体建築が配置され、都市機能を柔軟に組み替えることができます。都市OS「Dogen」がゲノム情報などから個人の健康状態を正確に評価し、住民はいつでも最先端医療が受けられます。この都市OSを駆動するのは海中のエッジデータセンターです。海水で冷却しながら効率的に運用されます。

N-ARKは、Dogen CityをひとつのモデルとするNew Ocean構想を掲げています。これはSpace Xが提唱する民間宇宙ビジネスイノベーションNew Spaceの海洋版で、海を新たな経済エコシステムとして発展させようとしています。まずは、Dogen Cityに代表される海洋デベロッパー産業、海中エッジデータセンターをコンステレーション化する海洋データインフラ産業、ロケットで海と宇宙をつなぐ旅客輸送ロケット関連産業の3つの産業を創出して海洋イノベーションを推進します。

そして、その技術や法律の課題解決のために、New Oceanコンソーシアムを立ち上げました。企業、政府、大学と協力しながら、海洋事業開発、海洋技術開発、海洋における規制緩和を進めるというものです。アドバイザリーボードには、東京大学大学院工学系研究科、医学系研究科教授の鄭雄一氏をはじめ、各分野の企業トップが名を連ねています。

現在、N-ARKは、海洋建築の第一ステップとして、海上と海中で同時に農業を行う海上ファーム「Green Ocean」を、2024年に開催される浜名湖花博の時期に合わせて実証実験機を建設する準備を進めています。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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