市民を「主役」に
これらの佐々木市長の政策を支える基盤が、2010年に市で施行された「市民主役条例」だ。その狙いは、第1条「目的」を読むとよくわかる。第1条 この条例は、市民が市政に主体的な参加を果たし、未来に夢と希望の持てる鯖江の実現に向け、市民と市が共に汗を流すという意志と、それを実現するために市の施策の基本となる事項を定めることにより、自分たちのまちは自分たちがつくるという市民主役のまちづくりを進めることを目的とします。
つまり、市民を「主役」に据えてその“人的資本”を生かすという考えが、10年以上前から根付いているのだ。結果、女性活躍が進み、共働き率全国1位、女性就業率全国2位、三世代同居率全国2位といった成果も出ている。
まちづくりでは市民の力を結集することは重要だが、鯖江市は「人的資本」の考え方を応用しており先駆的な事例といえる。
その一例として、鯖江市には「鯖江市役所JK課」という、2014年度にスタートした市民主体のプロジェクトがある。同課は、「無関心層の掘り起こし」や「今までの価値観や常識を変える」ために、女子高生の力を借りたいという狙いで始まったものだ。
近年は交通安全教室用の信号機づくりや投票啓発動画の作成、海の環境を考える「海と日本プロジェクト」などを行っている。
経済・社会・環境の三位一体で推進
最後に、これらの取り組みが整理されているスライドを紹介しよう。佐々木市長が未来まちづくりフォーラムのシンポジウムで投影したものだ。経済・社会・環境の三位一体を目指すSDGs未来都市として、モデル的な整理となっている。
佐々木市長が説明したスライド
図の真ん中にある拠点整備、情報発信、意識啓発の3点を軸に、経済・社会・環境の3側面で政策を遂行している。3側面相互で好循環になるように推進するのがポイントだ。
この「プラットフォーム」をベースに、2020年に設立した「さばえSDGs推進センター」が産官学民の連携・協働でSDGsの推進に取り組む。そのためにはSDGsを活かして的確に発信し、「協創力」を発揮することが必要である。