ジェネレーティブAIツールは、AIの完全な民主化をもたらす。「これらのアプリケーションの大半は非常に使いやすく、すでに、小学校レベルの言語能力があれば子どもでもコンテンツをつくりだせる状況にある」とデクレマーらは指摘している。「AIは、多くのクリエイターを失業に追い込むのではなく、クリエイターがすでに行っている仕事を支援し、より速く効率的な制作を可能にする。このシナリオでは、自然言語によって操作できるジェネレーティブAIが新たなアイデアやテキストを生み出すのにかかる時間を短縮するために使われることで、生産性が増幅する」
シナリオ2:ジェネレーティブAIが大量の安価なコンテンツを生み出し、人の手による制作物を駆逐する
この分野に関しては、知的財産に関する法律がまだ整っておらず、整備される前に、AIが生み出したコンテンツの氾濫が起こる。「アルゴリズムとの不当競争や不十分なガバナンスにより、生身の人間の制作物が駆逐される」とデクレマーらは推測する。「このシナリオでは、アルゴリズムが生み出したコンテンツの津波が発生し、人間のライターやプロデューサー、クリエイターらを溺れさせる。優れた才能をもつクリエイターでさえ、市場からいなくなる」
シナリオ3:人の手による創作物にプレミアがつく
AIが生み出したコンテンツが市場にあふれる中、人々は「本物」を渇望するようになり、こうしたコンテンツに進んで課金するようになるかもしれない。「ジェネレーティブAIは、驚異的で、時にあざやかな能力を発揮しているものの、正確性に問題を抱えている。一見もっともらしいが、実は反事実や論理矛盾に満ちたテキストを生み出すことも珍しくない」とデクレマーらは指摘する。
実際には、これら3つのシナリオが混ざり合って生じる可能性があり、ビジネスの特性によって、状況は変わってくるだろう。文化はテクノロジーをたやすく打ち負かすことができるのだ。「企業のビジョンや目標」における変化に対応する能力に関しては、人間がAIに置換されることはないだろう。「文化的な変化は、ジェネレーティブアルゴリズムの学習よりもはるかに迅速に起こる。つまり人間は、アルゴリズムが太刀打ちできないダイナミズムを維持するだろう」とデクレマーらは述べている。
(forbes.com 原文)