コロナ後の貧困撲滅シナリオ 2050年「極度の貧困」は2%以下と予測

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経済の先行きは、エネルギー危機や生活費の危機など、いくつかの要因が重なったことで、不透明且つ確実性を欠き、社会の最貧困層に大きな打撃を与えています。世界経済フォーラムのチーフエコノミスト展望は、生活費の危機が貧困の悪化を招くという人への影響の激化を強調する一方で、労働力は今年中にピークに達するはずだとも述べています。そして、調査の回答者も概ね同意見で、過半数(68%)が2023年末には危機が緩和されると答えています。

また、貧困は、大陸間で均等に共有されているわけではありません。

極度の貧困状態にある人の多くは、サハラ以南のアフリカに住んでいます。ディベロップメント・イニシアチブは、1990年には極度の貧困状態にある人々の13%がサハラ以南のアフリカに住んでいましたが、2022年には、62%に増加していると推定しています。

また、CGDの調査は、極度の貧困状態にある人の割合は、アフリカ大陸全体で29%から7%に減少するとの見方を示しています。さらに、現在から2050年までの成長率が高いとした上での楽観的な予測では、アフリカにおける極度の貧困は2%を下回るとされています。

CGDの調査では、1日10ドルで生活する人々の割合も示しています。
1日10ドル以下で生活する人々。 Image: Center for Global Development

1日10ドル以下で生活する人々。 Image: Center for Global Development


2019年には、1日10ドル以下で生活している人々の数は世界の約57%で、そのうち、10人中9人がアフリカやインドの人々でした。

この数が、世界の5人に1人、インドの5人に1人、アフリカの人口の2分の1以下にまで低下するという、ポジティブなシナリオもあります。

CGDの報告書の全体的なメッセージは、貧困レベルが正しい方向に進んでいることを示していますが、最近の危機により、世界は貧困の撲滅という目標への歩みから外れてしまう恐れもあるため、危機感を持つ必要があるでしょう。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Emma Charlton, Writer, Forum Agenda

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