共和党が多数派を占めるモンタナ州下院は、賛成54、反対43で同法案を承認。法案は3月に上院を通過しており、今後、州知事の署名を経て新法として成立する。共和党のグレッグ・ギアンフォルテ知事は2022年、TikTokを安全保障とデータプライバシーに対する「甚大な脅威」と批判しており、法案に署名する見通しだ。
2024年1月1日に発効する新法の下では、各モバイルアプリストアはモンタナ州民によるTikTokのダウンロードを禁ずることが義務づけられる。企業が何らかのかたちで州民に対してTikTokの利用方法を提供した場合、1日当たり1万ドル(約130万円)の罰金が科される。
ただ、順守状況をどう監視するかは法案では示されていない。同州下院のゾーイ・ゼファー議員(民主党)は、州民がVPN(仮想プライベートネットワーク)を使って位置情報を偽り、TikTokをダウンロードする可能性を指摘。また、州外に拠点を置くインターネット接続サービスを利用している住民が、新法によりどのような影響を受けるかも不明だ。
法案の支持派は、TikTokの親会社である中国企業バイトダンスが中国政府の「監視機関」であることは明らかだと主張している。民主党議員の一部は、禁止対象はTikTokのみではなく、ユーザーデータを収集するすべてのソーシャルメディア企業に拡大すべきだと主張していたが、共和党側はTikTokのみに絞るべきだとして、法案の修正を拒否していた。
法案が2月にモンタナ州上院の委員会に提出された際、米通信大手AT&Tの代理人を務める弁護士は反対意見として、インターネットプロバイダーは人々のオンラインでの活動をコントロールできないと説明。州内のユーザーによる利用を止めるには、TikTok社による措置が必要だと主張していた。
TikTokの広報担当者は声明で、同州には禁止措置を施行する「実現可能なプラン」がないと指摘し、同州政府による「はなはだしく行き過ぎた行為」を批判した。
(forbes.com 原文)