インフレ抑制法の恩恵
米国史上最大規模となるクリーンエネルギーとEVへの投資と優遇措置を盛り込んだインフレ抑制法案(IRA)が昨年施行されたことも、フレイルの戦略に影響をもたらした。同社は昨年11月、米国内でのバッテリー生産に対する助成金を活用するため、17億ドルを投じてジョージア州に工場を建設すると発表した。この工場は、カウエタ郡にある約1.5平方キロの土地に建設され、フル稼働時には720人を雇用する計画だ。製造能力は年間最大34ギガワット時を目標にする。「我々は、ちょうど工場建設を準備していたところだったが、IRAが施行され、助成金が得られることで建設を早めた」とジェンセンは話す。
証券アナリストらは、フレイルの先行きについて明るい見方を示す一方で、量産化への移行は同社の実行力が試されると指摘している。JPモルガンのアナリストであるJose Asumendiは、最近のレポートの中で次のように述べている。
「フレイルが収益を上げるためには、今後5年間で顧客からの受注獲得、工場の建設、優秀な社員の採用、生産の開始、24Mからの継続的な半固体バッテリー技術の供与など、クリアしなければならないマイルストーンが数多く存在する。同社のエクイティストーリーには、重大な実行リスクがあることは明白だ」
ジェンセンが目標とするライバルは、今のところテスラではなく、同じスカンジナビアのバッテリースタートアップNorthvoltだという。
「我々は、隣国のスウェーデンのNorthvoltに触発されて2018年に会社を設立した。スウェーデン人にできるのであれば、我々はもう少しうまくできるはずだ」と彼はユーモアをこめて語った。
(forbes.com 原文)