経済

2023.04.14 14:25

倒産件数が3年ぶりに増加 全業種で前年度超え

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今年度半ばだと見られているコロナ融資返済の本格化を前に、企業の倒産件数が増加している。

帝国データバンクは、2022年度の企業倒産件数を発表(※)。倒産件数は前年度比14.9%増の6799件で、コロナ禍前の2019年度以来、3年ぶりの増加となった。負債総額は2兆3385億9100万円で、前年度比97.7%増。2022年6月に倒産した自動車部品大手のマレリホールディングス(負債1兆1856億2600万円)が総額の半数を占め、総額を押し上げた。負債総額が2兆円を超えたのは、5年ぶり。

業種別で見ると、14年ぶりに全業種で前年度超えとなったほか、最多は「サービス業」で1699件(19.1%増)、続いて「小売業」で1315件(2.2%増)となり、コロナ関連の倒産が目立った。また、「運輸・通信業」(371件、35.9%増)、「建設業」(1291件、19.1%増)も、約20%以上の大幅増となった。

倒産主因別では、「不況型倒産」(5249件、14.8%増)が全体の77.1%を占め、3年ぶりに前年度を上回った。うち「販売不振」(5148件、14.3%増)が最も多く、75.7%を占め、「業界不振」(60件、71.4%増)は、2008年度以来の前年度比50%超に。「経営者の病気、死亡」(277件、0.7%増)は過去最多となり、「売掛金回収難」(30件、114.3%増)は倍増した。

さらに規模別では、負債「5000万円未満」の倒産が3927件(10.7%増)となり、零細規模が約6割を占めたほか、「5億円未満」(1416件、20.7%増)、「1億円未満」(1061件、27.5%増)で続く結果に。

業歴別では、「30年以上」が(2259件、10.9%増)最多で3割を占め、うち業歴100年以上の老舗企業は71件で、3年ぶりに増加した。一方で、業歴10年未満の新興企業(2009件、29.7%増)も、3年ぶりに増加。そのうちサービス業(640件、35.3%増)が最多で、特に娯楽業(同23件→48件)や旅館・その他宿泊所(同7件→18件)などで増加が目立った。

地域別では、「四国」を除く全地域で前年度超え。増加率は、1位「北海道」(206件、45.1%増)、2位「中部」(956件、21.2%増)、3位「中国」(280件、18.1%増)、4位「東北」(336件、17.5%増)、5位「近畿」(1694件、14.3%増)の順に。「四国」は唯一、前年度から減少(マイナス1.7%)した地域となった。

他にも、「コロナ融資後倒産」は445件で前年度比106%増。「人手不足倒産」は146件で前年度比23.7%増となり、3年ぶりに前年度を上回った。「後継者難倒産」については、中小企業を中心に(487件、2.3%増)過去最多となったほか、「物価高倒産」(463件)も前年度の3.4倍に急増し、過去最多を更新した。

帝国データバンクは、国内景気についてはアフターコロナに向けた前向きな動きが加速しているとした上で、こうした局面では「仕入増や人件費増、設備増強に伴う運転資金需要に資金調達が追い付かない黒字倒産の発生も懸念され、今後の倒産増加を後押しする可能性がある。コロナ禍の企業支援として特例的に認められた社会保険料など公租公課の支払い猶予も終了し、滞納が続く企業ではその支払いが強く求められるようになる。各種コスト増も重なり、こうした資金繰り負担に耐えきれない中小企業の淘汰、選別が一段進む可能性もある」と指摘。

「2023年度の企業倒産は、コロナ禍前の水準(年間8000件台)も視野に、緩やかな増加局面が続きそうだ」と予想した。

※負債1000万円以上の法的整理が対象

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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