ランサムウェアが世界的な脅威に。新たな戦いに向けて女性活躍を

2023年、世界はどのように変わっていくのか。Forbes JAPAN 2月号では、日本、そして世界で活躍するさまざまな業界のNo.1に「100の質問」を投げかけた。国際情勢、テクノロジー、ビジネス、金融などの分野で今年の変化予想を大公開。

日本の有名企業や病院も被害を受けているサイバー犯罪。国ぐるみの犯罪組織の存在も指摘されるなか、今後の見通しと対策とは? サイバーセキュリティに詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘に聞いた。


2022年もランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃が世界的に猛威を奮った。日本の重要産業である自動車関連企業などを狙った攻撃も確認され、サイバー攻撃が国の経済にダメージを与えると見せつけた。

ウクライナ侵攻で活性化したロシア系サイバー攻撃集団が、日本企業や官公庁にデータを大量に送りつけて妨害工作するDDoS攻撃も起き、行政手続ができる「e-Gov(イーガブ)」などが一時停止する事態になった。人命を脅かす病院などへの攻撃も確認され、新たな戦いが始まっていると実感させた。


2023年も引き続き、サイバー犯罪ではランサムウェア攻撃が続くだろう。政府系組織や犯罪集団が国境を超えて仕掛けてくるサイバー攻撃は、経済から国家を弱体化させる脅威であることを認識し、国家を挙げて対応していくべきだ。

日本としては、まずはビジネスにおけるサイバーインテリジェンスの強化が必要だ。攻撃を待つのではなく、事前に攻撃の兆候を徹底分析する脅威インテリジェンスが必須になる。

政府もインテリジェンスを元にした「能動的(積極的)サイバー防衛」を打ち出している。そうしたサイバー防衛を確立するために、日本も平時から攻撃主体に対してサイバー工作を実施する米NSA(国家安全保障局)のようなインテリジェンス機関の設置を検討すべきだろう。

日本で深刻なサイバー人材不足で鍵となるのは圧倒的に少ない女性ハッカーの活躍だ。サイバー空間での戦いに女性の活躍を促したい。


やまだ・としひろ◎ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、マサチューセッツ工科大学フルブライトフェローを経てフリー。『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)など。

文=山田敏弘

この記事は 「Forbes JAPAN No.102 2023年2月号(2022/12/23発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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