ビジネス

2023.03.31 12:00

中国規制当局を意識したアリババ再編計画、投資家には好材料か?

しかし、各部門の潜在的な利益については依然として懐疑的な見方もある。

香港在住の投資会社マネージングディレクター、ブロック・シルバーズは「今日のアナリスト向け説明会では、組織再編のビジネス上の根拠が驚くほど陳腐で、より機敏に対応できるようになるという話もまったく説得力がなかった」と話す。さらに「6つの部門間にときとして相乗効果が生まれるかもしれないが、再編の目的はアリババの圧倒的な市場影響力を抑制することにあったのはほぼ間違いない」と指摘する。

アナリストらによると、当面の疑問は分割された各部門が長期的に競合他社に勝つことができるかどうかだという。アリババは、中核となる中国のEコマース事業(つまり旗艦のショッピングサイトのTaobaoとTmall)の経営権を維持するが、この部門は長年にわたって現金を生み出し、エンターテインメント部門や地域サービス部門など他の赤字事業のための資金を調達するのに使われていた。

持ち株会社が今後どの程度の支援を行うかは今のところ不明だが、最終的な目標はこれらの部門がそれぞれ上場することだ。深圳在住で調査会社マネージングディレクターのショーン・ヤンは、各部門はアリババに依存していたため「一時的な痛み」がともなう可能性があると指摘する。

また「すべての部門が上場したときに、どれが相対的に良い業績を上げるかは誰にもわからない」とも話す。

投資家は外部顧客とアリババ関連顧客の割合や、将来の市場見通しなどに基づいて各部門を評価すべきだとヤンは考えている。

アリババの国際商取引事業については、追加融資によってさらなる拡大が見込めるため、ヤンは比較的明るい見方を示しているが、かつて急成長したクラウドコンピューティング部門は依然としてアリババ関連のサービスからの顧客に依存していると指摘する。また、ヤンはビデオプラットフォームのYoukuが先が見えない状況に直面している可能性があると考えている。アリババは2016年に同プラットフォームの支配持分を取得したが、Youkuは今のところ中国でトップ3のプラットフォームになれておらず、Baidu(バイドゥ)のiQiyiとTencent Videoにユーザーを奪われている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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