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2023.03.29

中国のゲーム規制緩和で増収のテンセント、AI部門を強化へ

Photo by Visual China Group via Getty Images/Visual China Group via Getty Images

中国のゲームおよびソーシャルメディア大手のテンセント・ホールディングス(騰訊)は、2四半期連続で収益を減少させた後、再び成長を取り戻したが、同社の共同創業者のポニー・マーは、今もなおコスト削減を進め、収益性を高めることを望んでいる。

WeChatの運営元であるテンセントは、3月22日に発表した2022年10〜12月(第4四半期)決算で、売上高が3四半期ぶりの増加となり、208億ドル(約2.7兆円)に達したと報告した。これを受け、23日の香港市場で同社の株価は8.2%急騰した。投資家は、テンセントの将来の成長ドライバーとして、広告や海外のゲーム事業に期待を寄せている。

しかし、現在51歳のマーは、今後の事業見通しについて慎重な姿勢を崩していない。記者会見で彼は、効率性の向上とコスト削減を継続すると述べた。「当面のゴールは、脂肪を取り除き、筋肉をつけることだ。本当に効果が見込める分野に人材と資源を集中させていく」

マーは、どの事業を縮小するのかには言及せず、利益率や長期的計画などに基づいて部門を評価することを強調した。ブルームバーグの報道によると、普段は温和なキャラクターで知られる彼は昨年「ビジネスで生き残ることもできないのに、週末にボール遊びをしている」と、社内のスタッフに対して厳しい言葉を放ったとされる。

テンセントは、昨年の大半を中国政府のインターネット業界に対する締め付けから立ち直るのに費やした。同社は、当局がゲームライセンスの認可を長期間凍結した結果、新たなゲームから収益を上げることができなかった。また、パンデミックの影響で経済が低迷する中、同社の広告事業も大きな打撃を受けた。

テンセントはその結果、ほぼ10年ぶりに人員を削減した。マーは、人員削減を続けるかどうかを明言しなかったが、同社のプレジデントのマーティン・ラウは、動画やゲームの海外展開、人工知能(AI)などの成長分野のために既存のリソースを活用する計画だと述べた。

彼は、ChatGPTを支えるジェネレーティブAIに巨大な成長が期待できると述べ、ゲームやクラウドなどの自社のさまざまな事業に同様の機能を追加すると宣言した。「パンデミック前の自由奔放な開発路線に逆戻りすることは絶対にない。私たちは規律を重んじた方法で効率を高めていく」とラウは語った。

一部のアナリストは、テンセントがWeChatの動画広告でさらなる収益を追加できると予想し、海外事業の拡大にも期待を寄せている。第4四半期の海外ゲーム事業の売上は5%増の20億ドルで、国内タイトルの売上は6%減だった。

ジェフリーズのアナリストは、テンセントの海外ゲーム事業に明るい兆しが見られると述べ、この部門の収益貢献度が、2021年第4四半期の28%から2022年第4四半期には33%に増加したことを指摘した。「テンセントのゲーム事業は、コンテンツのアップグレードや新規タイトルの投入により、好転すると予想できる」と同社は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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