ペットを飼う世帯数減少 コロナ後の飼育放棄が一因か

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世界ペット博覧会で、米ペット用品協会(APPA)が1万人弱の回答者から得たペットの飼育に関する年次報告書の概要を発表した。その中で、ペットを飼っている世帯の割合が、2021年の70%(9050万世帯)から2022年には66%(8960万世帯)に減少したことが明らかになった。

ペットと暮らすことはここ何年も爆発的な人気となっていたため、その傾向に反する結果は衝撃的ともいえるだろう。

これは支出の動向にも反比例している。ペットを飼う世帯が減っている一方で、昨年のペットに対する支出額は前年比で10.8%増となったのだ。APPAによると、ペット関連への支出の総額は昨年1368億ドル(約18兆円)に達し、国内の航空便に対する1270億ドル(約17兆円)や国内の住宅建築の1240億ドル(約16兆円)、美容関連の910億ドル(約12兆円)を上回る規模となった。

ペットを自分の子どもや友達のように扱う「ペットの人間化」は、依然として支出に拍車をかけている。大手ブランドの犬用衣料品を手がけるK9ウエアのジェームズ・ストラッガス最高経営責任者(CEO)は、消費者は自分が着るのと同じブランドをペットに着せることができるという。トミーバハマ、バッジェリーミシュカ、ナトリなどは、K9ウエアが取り扱うブランドの一部だ。

ペットを飼う世帯数が減った原因は?

世界ペット博覧会に参加した業界関係者や専門家に話を聞いてみたが、ペットを飼う世帯が減少している理由を十分に説明できる人はほとんどいなかった。

APPAによると、ペットを飼う世帯の減少のうち36%は、ペットが死んだ後に新たな動物を迎えていないことによるものだという。この理由について、APPAのピート・スコットCEOは「おそらく団塊の世代がペット飼育から卒業したためだろう」と分析。だが、それはペット飼育世帯の一部を占めているに過ぎない。

K9ウエアのストラッガスCEOは、Z世代(訳注:2000年代生まれ)とミレニアル世代(訳注:1980~90年代生まれ)がペットの飼い主として重要性を増していることが影響しているのではないかと説明。こうした若い世代が他の飼い主とカップルになって同居したり、同じくペットを飼っている親の元に戻って同居したりするなどして、飼い主の世帯数自体が減少している可能性を指摘した。
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翻訳・編集=安藤清香

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