「Bad $#!T to Good $#!T(悪いものを良いものへ)」と銘打ったこのキャンペーンは、ビール業界の性差別主義的な傾向を正すため、古い広告を本物の「堆肥」に変え、女性醸造家たちのビール製造に役立ててもらおうというものだ(「$#!T」は、「shit」の“政治的に正しい”表記)。
ミラーライトはすでに数カ月前から、他社ブランドの「時代遅れで性差別的な」広告、ディスプレイ、ポスターなどの回収を行い、同時にインターネット上で売りに出されている古いそうしたものを買い取り、ネット上での取り引きを一掃することを目指している。
ミラーライトのシニア・マーケティングディレクター、エリザベス・ヒッチは、このキャンペーンを開始した背景について、「ビール業界全体が女性を認めず、正当に評価してこなかった。そのことを認める必要がある」との考えがあったと説明している。
「過去を変えることはできません。ですが、女性たちをビールから遠ざける要因になってきた過ちを正すことはできます」とヒッチは言う。「過去の良くない広告を見つけ出し、何か前向きな影響を与えるものに変えることによって、私たちだけでなく、ビール業界全体のこれまでの間違いを一掃することが、私たちの使命だと考えています」
ミミズの力を借りる
ミラーライトは、米国の人気コメディアン、イラナ・グレイザーとチームを組み、消費者に対しても、手元にある性差別主義的な古い広告を同社に送付してほしいと呼びかけている。集められた古い広告は、数カ月をかけて堆肥にする。それらをミミズに与え、できた「ミミズ糞堆肥」を200人以上の女性醸造家に贈り、ホップの栽培に使用してもらおうと計画している。
現在のところ、この取り組みでは約450kgのホップを栽培できるだけの堆肥を作ることを目指している。ミラーライトは、これはおよそ33万本のビールが製造できる量だと推計している。
このキャンペーンは、ミラーライトとアルコール飲料業界で働く女性を支援する米国の非営利団体、Pink Boots Society(ピンク・ブーツ・ソサエティ)の提携によって推進されている。ホップは、同団体に加入する醸造家たちに寄贈される。
そのほかミラーライトは、醸造業における女性のキャリアを支援するため、広告の買い戻しにかかった金額の5倍以上を同団体に寄付し、醸造に関する教育の支援に充てる計画だという。
ヒッチは、ミラーライトは過去を認めると同時に、「ビール業界をよりインクルーシブなものにするという、さらに大きな使命を負っている」とコメントしている。
(forbes.com 原文)