政治

2023.03.17

英国も政府端末でTikTok禁止 これまでに禁止令を出した国は?

Getty Images

英国政府は16日、中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、安全保障上の脅威があるとして、すべての政府関連端末で利用を直ちに禁止すると発表した。他の欧米諸国の政府も、国家安全保障や情報保護に関する懸念から同アプリの利用を制限している。

欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は2月末、サイバーセキュリティの脅威を理由に、職員の携帯電話でのTikTok使用を禁止した。1週間後には欧州議会も同様の禁止令を出した。

ベルギーの国家安全保障会議は先週、政府関係者の携帯電話でのTikTok使用を禁止。アレクサンダー・デクロー首相は、TikTok運営会社が「中国の情報機関に協力することを義務付けられている」との見解を示した。

カナダも2月、国家安全保障上の懸念から政府支給の端末でのTikTok使用を禁止。ただロイターによると、モナ・フォルティエ予算庁長官は、政府の情報が漏えいした証拠はないと述べている。

米国では昨年12月、連邦政府の端末でのTikTok利用を禁止する法案が議会で可決されており、各政府機関は3月20日までにすべての政府端末から同アプリを削除しなければならない。

TikTokをはじめとする中国系アプリを禁止した初の国はインドで、2020年6月のことだった。米紙ニューヨーク・タイムズによると、インド政府は中国系アプリが「ユーザーデータを盗み、密かにインド国外に送信している」と指摘していた。

中国企業ByteDance(バイトダンス)の子会社である米企業TikTokについては、ユーザーデータが中国政府に渡る恐れから監視が強化されており、ここ数カ月で使用禁止の動きが相次いでいる。両社の内部告発者はジョシュ・ホーリー上院議員と米紙ワシントン・ポストに対し、TikTokの従業員は米国と中国のデータを簡単に切り替えられると語っているが、TikTokはこれを否定している。

数年前からTikTokを調査している対米外国投資委員会(CFIUS)は最近、TikTokの中国株主が保有株式を売却しなければ、米国内での同アプリ利用を禁止すると警告。だがTikTokはフォーブスの取材に対し、バイトダンスにTikTok売却を強制しても「問題は解決しない」とし、「所有者が変わっても、データの流れやアクセスに新たな制限を課すことはない」と指摘。情報保護に関する懸念に対処する新しい措置として、ユーザーデータをローカルに保存し、欧州と米国からのデータ流出を防ぐ意向を示している。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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