ビットコインの価格は、暗号資産に特化したシルバーゲート銀行が3月8日に破綻した影響で、先週約10%下落し、イーサやBNB、XRP、カルダノを含むトップ10の暗号資産の時価総額から1000億ドルが一掃された。
さらに、10日のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻によって、米ドルに連動するよう設計されたUSDCの準備金としてサークルが保管していたドルの一部が引き出せなくなり、時価総額で2番目の規模のステーブルコインが重大な危機に直面している。
「シリコンバレー銀行は、当社が現金で保有するUSDCの準備金の一部を管理するために使用している6つの銀行パートナーの1つだ」とサークルがツイッターに投稿して以降に、USDCの価格は本来維持すべき1ドルから乖離し、一時は12%近く下落した。
サークルによると、同社は現在、米連邦預金保険公社(FDIC)からの連絡を待っている状態だが、その間も同社とUSDCは通常通り運営されているという。
サークルがUSDCの準備金として用意した400億ドルのうち33億ドルがSVBに預けられていた。SVBへの預金は、最大25万ドルがFIDCによって保証されているが、それを超える金額は取り戻せない可能性がある。
「FIDCへの預金は25万ドルまでしか保証されておらず、銀行が倒産した場合、預金者が損失を被る可能性がある」とMatrixportのリサーチ責任者のMarkus Thielenは述べている。
コインベースもUSDCの交換を一時停止
さらなる打撃となったのが、サークルとの合弁会社を通じてUSDCを発行している暗号資産取引所のコインベースが11日に、米ドルとUSDCの交換を一時的に停止したと発表したことだ。コインベースは、週末に銀行が閉まっている間は交換を「一時的に」停止するとツイッターに投稿した。サークルの最高戦略責任者のDante Disparteは「当社は現在、米国の銀行システムにおける失敗からUSDCを保護している」とツイッターに投稿した。「シリコンバレー銀行は、米国経済における重要な銀行であり、その失敗は、連邦政府の救済計画が無ければ、より広範囲な影響をビジネスや銀行、起業家らにおよぼすだろう」と彼は続けた。
一方、サークルが抱える問題は、その数日前のシルバーゲートの破綻で引き起こされた暗号資産の危機と組み合わさって、トレーダーがコインを確保しようとする動きを活発化させ、ビットコインの取引手数料の急騰につながっている。
「ビットコインネットワークの取引手数料は現在非常に高くなり、パニックを示している」とMatrixportのThielenは指摘し、最大のステーブルコインであるテザーは、現状でドルとのペッグを維持できていると付け加えた。
「テザーのUSDTコインは、2月にパクソスが発行するバイナンスUSDを襲った嵐を乗り切り、今回のサークルのUSDCの嵐も乗り切ろうとしている」とThielenは語った。
(forbes.com 原文)