リユース・生分解性容器
欧州委員会は2022年11月、「包装と包装廃棄物に関する指令案」を公表した。同案は、容器包装のリユース・詰め替えを促進するべく、企業は一定の割合の自社製品をリユースまたは詰め替え可能な容器包装で消費者に提供しなくてはならないとしている。ドイツでは、2023年1月に容器包装廃棄物法が改正・施行され、持ち帰り用の食料・飲料品を販売する一定規模以上のレストラン・カフェ・ケータリングなどに対して、リユースカップ・容器を顧客に提供する選択肢を設けることが義務付けられた。今後、こうした規制により、リユース・詰め替えに関するソリューションが多く提供されていくと予想される。
BIOFACHでも、リユース容器や生分解性容器を展示している企業が多くみられた。現在、ドイツの店舗で提供されているリユース容器の形状は簡素なものが多いが、さまざまな形状の容器が展示されていた。
分解性容器提供の伊BIOPAPのブースBIOFACHに出展していた生分解性・リユース容器提供の独greenboxの容器(出典:greenbox)
独TareTag:詰め替え容器のデジタルラベル
詰め替え容器に関する新技術も紹介されていた。独スタートアップのTareTagは、使い捨て容器包装を排除し、従来の印刷・接着されたラベルに代わり、すべての小売業者・充填業者・最終消費者が同システムを使用して、製品フローをデジタル化してリユース容器が製品に関する全情報を提供することを目指す。同システムは、次のように機能する。
空の容器に製品を充填する
QRコードをスキャンして、容器を天秤に置く
充填した製品を選択する(発声、もしくはキーボードで入力)
購入場所・賞味期限・栄養価・レシピなど、すべての情報はデジタルラベルを介して常時入手できる
TareTagの創設者のMichael Albert 氏(左)とSonja Schelbach 氏(右)(出典:TareTag)
TareTagの共同創設者Michael Albert 氏によると、TareTagは同システムの実証を今夏に開始する予定だ。
上述のドイツの容器包装廃棄物法の施行により、日常生活でも変化が感じられる。今回、筆者は見本市が開催されたニュルンベルクまでの道中、フランクフルト中央駅で電車を乗り換え、乗り換え時にコーヒーをリユース容器で購入した。フランクフルト中央駅の多くの店舗がリユース容器を導入しており、リユース容器で購入すると使い捨て容器での購入より20セント(約30円)安価だった。
フランクフルトの街並みが描かれたカップ
到着したニュルンベルク駅のカフェでフランクフルトで購入したリユース容器を返却し、デポジット代1ユーロを返却してもらった。
返却した店でリユース容器の利用状況を質問したところ、リユース容器を利用する顧客は多く、好評だとのこと。同リユース容器(独スタートアップのRecup)のシステムはアプリなども不要なため、とても簡単で、提携店も多く利用しやすいことが特長だ。
【参照サイト】
・BIOFACH
・IBIS Rice
・Es braucht Veränderung.
*冒頭の画像の出典:NürnbergMesse
*文中の注釈がない写真はすべて筆者撮影
※この記事は、2023年2月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。