政治

2023.03.11

TikTokの周CEO、公聴会に先立ち米民主党議員らと意見交換

TikTokの周受資CEO(Getty Images)

TikTokのCEOである周受資(ショウ・ジ・チュウ)は、3月23日に行われる初の議会証言に先立ち、米国議員らと非公開の面談を行っている。

2人の米民主党幹部によると、周はTikTokの公聴会を前に、彼を尋問する予定の下院エネルギー・商業委員会の議員らとの面談を行ったという。そこには、ロリー・トレーハン下院議員やジャン・シャコウスキー下院議員、スコット・ピーターズ下院議員などの民主党の議員が含まれていた。

トレーハン下院議員は、8日にワシントンで周と会ったことをフォーブスの取材で認め「彼は、自分たちの会社が今、誰にも信用されていないことを十分に理解している」と語った。「TikTokは今、米国の多くの企業が遅れをとっている問題に関して、前向きな一歩を踏み出すことができるユニークな立場にある。私は周に対し、彼が成果を上げることを望んでいると伝えた」と、彼女は付け加えた。

トレーハン議員は、周との会談で主にTikTokの若いユーザーが直面する危険について話したという。

関係者によると、2月のシャコウスキー議員との会談で周は、対米外国投資委員会(CFIUS)と協議中のTikTokの国家安全保障協定案について話したという。TikTokは2019年以来、同社が中国のByteDance(バイトダンス)の傘下にあることに起因する国家安全保障上の懸念への対処をめぐり、CFIUSとの交渉を重ねている。

周の議会での証言は、TikTokへの非難の高まりの中で行われる。フォーブスは12月の記事で、バイトダンスの社員が複数の米国人ジャーナリストの位置データを追跡していたことを報じたが、それ以降、中国政府がこのような監視を幅広い米国人を対象に行っているのではないかという懸念が、米国政府内に広がっている。

また、TikTokが児童を狙う性犯罪者のための道具になっていることや、未成年の違法な性的画像が蔓延していることを指摘したフォーブスの記事によって、この問題についても議会から非難の声が上がっている。

公聴会での証言を控えた企業の幹部と議員らの面談は、過去にも行われていた。TikTokをめぐる懸念は高まっているものの、周とのミーテイングに同席した民主党のある幹部は、当日の会談の内容が、メタのマーク・ザッカーバーグやグーグルのスンダー・ピチャイらとの過去の非公開の面談と比較して、特に変わったものではなかったと語った。

トレーハン議員は、8日の周との議論が、彼女が以前にメタやグーグルのトップと行った議論よりも、本質的な内容だったと述べている。

公聴会が政治的ショーで終わる懸念

「周は、言い逃れの術を使わず、彼が知っている被害について率直に話した。また、プラットフォーム上のリスクをどのように軽減しているのか、議会からの支援を期待したい点についても語った。私がこれまで他の米国企業のCEOと行ったどの会話よりも、正直なやり取りだった」と、彼女はフォーブスに語った。

また、今回の会談を通じて、若いユーザーに関する同様の問題が、TikTokよりもはるかに多くの時間を、その対処に投じてきたはずの米国内のプラットフォームで、放置されたままであることが「どれほど残念なことであるかを実感した」と彼女は述べた。

トレーハン議員はまた、今回予定されているようなテック系企業のCEOの公聴会が、時として「政治的なショー」で終わってしまう可能性があると指摘した。

「それでは意味がないと思う。私たちはこの点で、真剣に仕事を続ける必要がある。もし、今回の公聴会が政治的なショーになることを許せば、アメリカ国民を守るために何もできなかったことになる」と彼女は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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