新型コロナ後遺症で心臓病リスク倍増、ワクチンに予防効果

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症と、心臓疾患の発症リスク増加を関連づける新たな研究結果が明らかになった。専門家は、後遺症を予防する最善の手段はワクチンだとしている。

23日に発表された研究によると、ロングコビッド(Long COVID)と呼ばれる新型コロナ後遺症のある人では、心血管系の健康問題が生じる可能性が2倍以上高いことがわかった。

この研究では、新型コロナ後遺症と心臓の問題に関するデータを含む11件の先行研究を再検討した。研究の対象者580万人中、約45万人が心血管の問題を経験しており、このうち後遺症のある人における心臓合併症の発症率は、対照群と比べて2.3〜2.5倍高かった。

ロングコビッドとは、新型コロナ感染から回復した後で、ブレインフォグ(頭にモヤがかかったような感覚)や嗅覚・味覚障害、疲労、胸痛、息切れ、抑うつ状態、動悸など、感染前にはなかった症状や長引く症状が現れることを指す。

米疾病対策センター(CDC)のデータによると、18歳以上の米国人の約15%が後遺症を経験している。また、後遺症経験者の79%が日常生活に支障があると回答し、うち27%が重大な支障が生じていると答えている。

学術誌『Nature(ネイチャー)』に今月発表された研究によれば、世界で6500万人以上が新型コロナ後遺症を患っているとみられる。確認された症状は200以上あり、複数の臓器系に影響を及ぼしている。

米国医師会(AMA)に対し、メイヨー・クリニックのデバン・サンガビ医師は、後遺症に対する最も効果的な予防策はワクチンで、接種を済ませた人は感染しても「ロングコビッドやポストコビッド(罹患後症候群)を発症する可能性が50%低い」と述べている

医学誌『Lancet(ランセット)』に2022年8月に掲載された報告でも、新型コロナウイルスワクチンが後遺症の発症リスクを軽減することが示唆されている。

CDCは、後遺症は重症化した患者に多く見られるが、感染者なら誰でも発症する可能性があると報告している。米国立医学図書館(NLM)によると、基礎疾患のある人、ワクチン未接種の人、感染中または感染後に多系統炎症症候群(腎臓や脳など一部の臓器に炎症が起きる新型コロナ関連のまれな症状)を発症した人は、後遺症を患う可能性が最も高い。生後6カ月の子どもにも後遺症リスクはあり、ネイチャーの研究によれば、新型コロナに感染した子どもの約4分の1が長引く症状を経験している。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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