メールの無害化とは、メールに仕込まれたウィルスやマルウエア、悪意あるサイトに誘導するURL、危険な添付ファイルなどの脅威を削除して、安全な状態で見られるように処理することです。
五霞町では、2019年、茨城県と県内市町村のインターネット接続ポイントを集約して高度な情報セキュリティー対策を共同で運営する「いばらき情報セキュリティクラウド」を導入し、130人の職員が膨大なメールの無害化処理にあたってきました。処理したメールは統合行政ネットワーク「LGWAN」経由でパソコンに送られて閲覧可能になりますが、その際に添付ファイルは削除されてしまいます。そのファイルを確認するためには、「いばらき情報セキュリティクラウド」の仮想環境で検索して照合と確認を行わなければならず、その作業にはメール1通あたり5分が費やされます。しかも、仮想環境へは50人までというアクセス制限があるため、入れないときは長時間アクセスしている人がいないか、県に問い合わせるなどの手間もかかっていました。
そこで五霞町は、予算内で導入できる法人向けソフトウェアを開発するサイバーソリューションズの「CYBERMAIL Σ ST」(サイバーメール・シグマ・エスティー)の採用を決めました。このシステムは、メールとファイルの無害化を自動で行うため、5分かかっていた作業はゼロ分になります。PPAP(パスワードで解凍するZIPファイル)も、ウェブ上でパスワードを入力するだけで解凍と無害化が自動的に行われてパソコンに送られます。
これを10カ月間運用した結果、作業にあたっていた職員の労力が大幅に削減されました。五霞町役場まちづくり戦略課広報戦略グループ主幹の矢島征幸氏は、五霞町役場のような少人数で業務を分担している小規模自治体では1人当たりの受信メール数が多く、複数のファイルが添付されていることも多いため、このシステムを導入したことで、職員が本来の業務に集中できるようになったといいます。また「小規模自治体こそメールとファイルの無害化はDX化に取り組むうえで不可欠な対策です」と話しています。
人的パワーに制限がある小規模な組織での、デジタルツールの有効性がわかる好例ですね。五霞町のCYBERMAIL Σ ST導入事例は、ここで見ることができます。