外資参入の前に、日本市場を「面」で抑える
パートナー戦略は、ゼロボードにとっていわば「攻守の要」だ。パーセフォニのような外資企業にとって、日本語や日本独自の文化は、参入障壁となる。その間にパートナーを増やし、日本市場を「面」で抑えることで、シェアを守ることができる。
一方、海外市場に進出する際に、パートナーの存在は強力な武器となる。
ゼロボードは昨年、タイでトライアルをスタートした。現地企業からのフィードバックをもらいながら、サービスのローカライズを進めている。こうした「生の声」は、大手商社やメガバンクなどパートナーのブランドや現地のネットワークがなければ、得られなかったものだ。渡慶次が次のように話す。
「スタートアップが単独で海外に出ていくのは相当難しい。特に、BtoBの事業なので、パートナーとの協力は必須でした。今回のタイ進出は、海外にも拠点があり、現地で影響力をもつ大手5社の協力で実現したものです。日本の各業界の大手を揃えた「『オールジャパン体制』は、とても心強いです」
喫緊の課題は、事業拡大に伴う人員拡大だ。今年中に新たに約100人を雇用しなければ、人手が追いつかない状況だという。休日を除けば、1週間に2~3人を採用するペースになる。
救いは、リファラル採用の割合が高いことだ。経営陣も含め、紹介による入社が多く、採用コスト抑制にもつながっている。
また、ゼロボードには、社会課題の解決に関わりたいという人や「自分の子どもや次の世代に貢献したい」とやってくる子育て世代の人が多い。脱炭素という事業の特性柄、こうした想いを持った人材が集まりやすいという。
今回調達した24.4億円は、専門人材の採用強化やプロダクトの機能開発、海外展開になどに活用される。
19.8億円を調達したファーストクローズでは、Keyrock Capital Managementをリード投資家とし、既存投資家であるDNX Ventures、インクルージョン・ジャパン、新たにジャフコ グループ、DBJキャピタル及びCoral Capitalの合計6社を引受先とした。
また、4.6億円を調達したセカンドクローズは、長瀬産業、関西電力、三菱UFJ銀行、岩谷産業、豊田通商、住友商事、FFGベンチャービジネスパートナーズ、オリックス、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、デライト・ベンチャーズ、U3イノベーションズの合計12社から出資を受けた。
引き続きサードクローズを予定しており、資金調達額はさらに増加する予定だ。