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2023.02.06

NFT市場が回復の兆し、トランプNFTは売上1200万ドル突破

Getty Images

NFT市場は、マクロ経済見通しの緩和や、業界最大手のユガラボ(Yuga Labs)、ドゥードゥルズ(Doodles)、ムーンバーズ(Moonbirds)などのプロジェクトの立ち上げを受けて、2022年の低迷から回復しようとしている。

ダップレーダー(DappRadar)の新たなレポートによると、1月のNFTのトランザクションは920万件で、12月から37%増加し、過去6カ月間で最高を記録した。取引高も12月から38%上昇して9億4600万ドル(約1200億円)に達し、昨年6月に記録した10億ドルのピーク以降で最大を記録した。

ビットワイズ・アセット・マネジメントのアナリストのフアン・レオンは、「売られ過ぎだった状態から回復するモメンタムが見え始めている」と語る。インフレ率の低下と金利の上昇の鈍化が、あらゆるリスク資産に恩恵をもたらしている。

ユガラボの最新コレクションの「Sewer Pass(下水道パス)」の売上は発売後の数時間で400万ドルを超え、1月のNFT取引全体の34.3%を占めた。

さらに、ドゥードゥルズがエミー賞にノミネートされたアニメスタジオの「ゴールデンウルフ(Golden Wolf)」を買収したことや、ムーンバーズがハリウッドの主要なタレントエージェンシーである「UTA(ユナイテッド・タレント・エージェンシー)」と契約を締結したことも、市場の信頼感を後押しした。NFT Price Floorのデータで、1月のドゥードゥルズのNFTの平均価格は1.82%、ムーンバーズのNFTは3.43%上昇した。

「今年はNFTが、ハリウッドのレッドカーペット入りを果たす年になるかもしれない」とビットワイズのレオンは述べた。

トランプのNFTが売上1200万ドル

一方、プロのトレーダーを対象に手数料を最小限に抑えようとするマーケットプレイスのBlurは、10月の立ち上げから3カ月連続で市場の20%を占めた。

Blurは、トレーダーに報酬を与えるプラットフォームトークンの立ち上げを予定しており、これも利用率を押し上げている。しかし、レオンによると、ユーザーにトークンで報酬を与えるプラットフォームは長期的には持続可能と言えず、「NFTが証券として分類されるリスク」をもたらすという。

マーケットプレイスとしては、OpenSeaが依然として最大のNFTマーケットプレイスで、1月の取引高は4億9500万ドルを記録した。ダップレーダーは、同プラットフォームの収益が約1230万ドルと推定している。

一方で取引所大手のコインベースが立ち上げたマーケットプレイスの「コインベースNFT」は2月1日、NFTの新規公開を一時停止すると発表した。ダップレーダーによると、コインベースNFTの累計取引高は730万ドルで、OpenSeaの1月の取引高のわずか7%に過ぎないという。

イーサリアムベースのNFTは依然として最も人気があり、1月の取引量ではトップの座を守り、市場の36%を占めていた。

昨年末から最も伸びたのはポリゴン(Polygon)で、1月の取引高は前月比124%増の4600万ドルだった。CryptoSlamのデータによると、ポリゴンの好調の背景には、発売以来1210万ドルを売り上げたドナルド・トランプのNFTや、アニモカブランズのMocaverseとThe Sandboxのメタバースパスとして機能するNFTなどの人気コレクションのリリースが大きく影響している。

ポリゴンのmaticトークンも2023年のスタートは好調で、1月1日から72%上昇して1.24ドルをつけている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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