教育

2023.02.01 11:35

6割が「部下を叱ったことがない」 パワハラ防止法やテレワーク普及が原因か

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ひと昔前まで、部下を叱る上司の声が職場に響くという環境はそう珍しくなかった。しかし、パワハラ防止法の施行や価値観の変化、コロナ禍でのテレワーク普及などにより、上司が部下を叱ること、部下が叱られることについての意識と経験は変化している。

就職や転職に関する研究調査を行うJob総研は、社会人の男女682人を対象に「上司と部下の意識調査」を実施。部下がいると回答した人に、部下を熱量高く叱った経験の有無を尋ねると、「経験あり」と答えたのは34.7%。部下を叱った経験がないと答えた人の割合が、6割に上った。

叱らない理由を聞くと、「時代と価値観が違うから」が最多で4割を占めたほか、「叱ること(内容)がないから」(35.5%)、「ハラスメントを気にしてしまう」(30.9%)が続いた(複数回答可)。


年代別に見ると、年代が上がるに連れて「叱った経験があり」の割合が高くなり、50代が52.9%、40代で36.2%、30代で27.8%、20代で26%となった。

一方で、上司がいると答えた人に、上司から熱量高く叱られた経験の有無を質問すると、「経験あり」が38.6%で、「経験なし」が6割超に。年代別では、叱られた「経験あり」の回答は20代が24.8%で最も少なく、年代が上がるに連れて割合は増加した。

さらに、適切な場面で上司から叱られることについての意識を聞くと、「叱られたい」(3%)と「どちらかといえば叱られたい」(16%)を合わせた約2割が叱られたい派で、「叱られたくない」(43.5%)と「どちらかといえば叱られたくない」(37.5%)を合わせた叱られたくない派は8割に。年代別に見ると、叱られた経験の結果と反対に、年代が上がるに連れて叱られたくない派が増え、叱られたい派は20代で最も多い23.8%となった。

叱られたい理由については、「自分の成長につながるから」が68.2%で最多に。次いで「自分をみてもらえている気になるから」と「客観的な評価が欲しいから」が同率(48.1%)で並んだ。また、叱られたくない理由については、1位が「萎縮してしまうから」(59.1%)、2位「叱られてもしっくりこない」(31.6%)、3位「反論したくなってしまう」(24.2%)の順となった(いずれも複数回答可)。

上司から叱られることによる仕事のモチベーションの変化を聞くと、「上がる」(4.5%)と「やや上がる」(17.7%)を足した上がる派は22.2%。一方の「下がる」(52.9%)と「やや下がる」(24.9%)を足した下がる派は8割弱を占めた。年代別では、上がる派の最多は20代で26.4%になり、30代(23%)、50代(16.9%)、40代(14.2%)と続いた。

結果、最も叱られた経験が少ない年代も20代だが、最も叱られたい割合が高く、叱られて仕事のモチベーションが上がる割合が高い年代も20代となった。

上司がいる20代の回答者からは、「職場で上司から叱られるという経験がないので、おこがましいけど優しすぎるようにも感じる」「上司の感情で『怒られる』のとは違うので、しっかり見てくれているという愛を感じる」「入社してから一度も叱られた経験がないので、自分の意見は言いやすいですが、経験してこられた上司の観点からダメ出しは欲しい」というコメントが並んだ。

叱りたくない上司とその部下、両者の間には確かな価値観のギャップがあるようだ。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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