就職や転職に関する研究調査を行うJob総研は、社会人の男女682人を対象に「上司と部下の意識調査」を実施。部下がいると回答した人に、部下を熱量高く叱った経験の有無を尋ねると、「経験あり」と答えたのは34.7%。部下を叱った経験がないと答えた人の割合が、6割に上った。
叱らない理由を聞くと、「時代と価値観が違うから」が最多で4割を占めたほか、「叱ること(内容)がないから」(35.5%)、「ハラスメントを気にしてしまう」(30.9%)が続いた(複数回答可)。
年代別に見ると、年代が上がるに連れて「叱った経験があり」の割合が高くなり、50代が52.9%、40代で36.2%、30代で27.8%、20代で26%となった。
一方で、上司がいると答えた人に、上司から熱量高く叱られた経験の有無を質問すると、「経験あり」が38.6%で、「経験なし」が6割超に。年代別では、叱られた「経験あり」の回答は20代が24.8%で最も少なく、年代が上がるに連れて割合は増加した。
さらに、適切な場面で上司から叱られることについての意識を聞くと、「叱られたい」(3%)と「どちらかといえば叱られたい」(16%)を合わせた約2割が叱られたい派で、「叱られたくない」(43.5%)と「どちらかといえば叱られたくない」(37.5%)を合わせた叱られたくない派は8割に。年代別に見ると、叱られた経験の結果と反対に、年代が上がるに連れて叱られたくない派が増え、叱られたい派は20代で最も多い23.8%となった。
叱られたい理由については、「自分の成長につながるから」が68.2%で最多に。次いで「自分をみてもらえている気になるから」と「客観的な評価が欲しいから」が同率(48.1%)で並んだ。また、叱られたくない理由については、1位が「萎縮してしまうから」(59.1%)、2位「叱られてもしっくりこない」(31.6%)、3位「反論したくなってしまう」(24.2%)の順となった(いずれも複数回答可)。
上司から叱られることによる仕事のモチベーションの変化を聞くと、「上がる」(4.5%)と「やや上がる」(17.7%)を足した上がる派は22.2%。一方の「下がる」(52.9%)と「やや下がる」(24.9%)を足した下がる派は8割弱を占めた。年代別では、上がる派の最多は20代で26.4%になり、30代(23%)、50代(16.9%)、40代(14.2%)と続いた。
結果、最も叱られた経験が少ない年代も20代だが、最も叱られたい割合が高く、叱られて仕事のモチベーションが上がる割合が高い年代も20代となった。
上司がいる20代の回答者からは、「職場で上司から叱られるという経験がないので、おこがましいけど優しすぎるようにも感じる」「上司の感情で『怒られる』のとは違うので、しっかり見てくれているという愛を感じる」「入社してから一度も叱られた経験がないので、自分の意見は言いやすいですが、経験してこられた上司の観点からダメ出しは欲しい」というコメントが並んだ。
叱りたくない上司とその部下、両者の間には確かな価値観のギャップがあるようだ。
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