北米

2023.01.12 11:30

米で「ガスコンロ禁止」の動き、健康被害と温暖化の懸念で

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米国では、調理用のガスコンロや天然ガスを用いた暖房器具が、健康問題を引き起こすという懸念に対処するため、規制当局や議員らがこれらの器具の新規導入の禁止を検討している。

米国消費者製品安全委員会(CPSC)のリチャード・トラムカ委員は1月10日のブルームバーグの取材に、室内に有害な大気汚染物質を放出するガスコンロが、「隠れた危険物」であり、安全にできない製品は禁止すべきだと述べた。

トラムカ委員は、ガスコンロの使用をやめて電気コンロに切り替えた消費者は、昨年8月に成立したエネルギー効率の高い家電製品の導入を支援するインフレ削減法によって、840ドルの資金を受け取ることが期待できると述べた。

天然ガスを利用したガスコンロは全米世帯の約4割で使用されているが、先月は20人の民主党議員が、ガスコンロの使用禁止を検討するようCPSCに要請した。議員らは、ガスコンロから漏れ出すメタンガスが地球温暖化を悪化させ、呼吸器系疾患の原因となる危険性があると主張している。

ニューヨーク州知事のキャシー・ホークル(民主党)は10日、ガスコンロが小児喘息の原因となるという調査結果を引用し、2028年までに新規に建築される建物からガスコンロを追放し、2030年までに化石燃料を使った暖房器具の販売を禁止するよう、州議員らに呼びかけた。

ガスコンロを規制する動きは、環境面と健康面の両方の懸念から推進されている。環境保護庁(EPA)は、2020年の米国の温室効果ガス排出量の13%が商業および住宅用途によるもので、その大半が天然ガスやその他の化石燃料の燃焼によって排出されたと推定している。

米国化学会は2022年の研究で、ガスコンロからのメタン漏れは、20年間でガソリン車50万台分に相当する気候への影響をもたらすと指摘した。また、非営利のクリーンエネルギー団体のRMIは、米国の家庭の35%に導入されているガスストーブが排出する二酸化窒素が、子どもの喘息リスクを高める可能性があると主張している。

そんな中、ニューヨーク市などは、すでに新築物件へのガス器具の導入を禁止している。同市の議員らは、2027年末までにほとんどの建物でガスの使用を禁止することで、2040年までに推定210万トンの二酸化炭素排出量を削減できると試算している。

一方、共和党の一部の議員らは、トラムカ委員の発言に反対している。テキサス州のテッド・クルーズ議員らは、「選挙で選ばれたわけではない官僚たちに、この種の権力を握らせてはならない」と述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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