日銀はさらなる「金融引き締め」に動くか 焦点は1月18日

昨年12月20日、日銀は大規模金融緩和策を修正し、長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。年が明けても、マーケットはこの大きすぎる衝撃を吸収しきれていない。

1月3日にはドル円相場が一時、7カ月ぶりの1ドル129円台の円高水準となった。日銀がさらに金融緩和策を修正するとの見方から円買いが進んだ。この先、日本経済にどんな影響が考えられ、何に注目すれば良いのか見ていきたい。

焦点は1月18日の「展望レポート」

「事実上の利上げ」と言われる今回の動きだが、黒田東彦総裁は12月20日の会見で、「今回の修正は利上げや金融の引き締めではない」とした。そのうえで「経済にマイナスの影響が出ることはない」という認識を示した。発言に対して、さまざまな解釈や憶測が飛び交っているが、黒田総裁は今年4月に任期満了を迎える。次期総裁の就任時点では、ある程度の引き締め方向に動いていることが予想される。

12月20日の長期金利の上限引き上げの表向きの理由は、無理やり10年債の金利を0.25%で固定しているため市場機能に歪みが生じており、その改善をしたいということだ。G7から政策変更の圧力がかかっていることも理由として挙げられる。

表向きの内容が狙いなら、金融政策に奥行きが出てくる。つまり、次なる「金融引き締め」があり得るのだ。ただ、黒田総裁自身の本音は「為替対策」だった可能性がある。円安に歯止めをかけ、円の価値を守ることで、家計や企業の不安を払拭したかったということだ。

行き過ぎた円安で、エネルギーや穀物の輸入コストが上昇したなか、120円~130円台の為替水準に落ち着かせたいとの考えは理解できる。ただし、中央銀行は物価の安定のために行動する存在であり「為替のために動く」ことは為替操作と批判されかねない。為替が狙いだとは言えない本音がある。

為替水準が狙いなら「なぜ、150円台の時にしなかった」との意見もあるが、加速する円安相場のなかで、イールドカーブコントロールの修正程度の政策転換をしても効果は限定的だ。今回の上限引き上げは、米国の利上げの頭打ちが見えつつある段階で、円安が落ち着き、かつ年末で市場参加者が少ないタイミングを見計らったのだろう。

いずれにせよ「金融政策の現状維持」でも「政策の変更をした場合」でも、整合性のとれるような状態にしている。政策に幅を持たせる決定だったと言える。

この先の注目は1月18日に発表される、日銀の「展望レポート」だ。ここで、物価の見通しを上方修正する観測も出てきている。観測通りであれば、この先、引き締め政策を取る根拠となる。
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文=馬渕磨理子 編集=露原直人

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