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2023.01.10 19:00

日銀はさらなる「金融引き締め」に動くか 焦点は1月18日

住宅ローン上昇で負担額はどうなるか

もし、さらなる引き締めに動くなら、住宅ローンにも影響が出てくる。例えば3500万円の家を35年ローンで契約した場合、これまでの固定金利1.65%で、返済総額は4610万円。しかし、大手銀行5行は、1月に適用する住宅ローンの固定金利を引き上げている。フラット35をベースに試算すると、これから新しく固定金利で契約する場合、金利が1.85%に上昇すると返済総額は4758万円となり、148万円の負担増となる(1年あたり4.2万円増)。さらに、2%に上昇すると4870万円となり、260万円の負担増(1年あたり7.4万円増)となる。住宅ローンは幅広い層への影響が出るため消費マインドを冷やしかねない。

140円以上の円安は好ましくないし、100円以下の円高も好ましくない。120円~130円台が適当と考えるが、ここからもう一段の「引き締め政策」を講じるならば、さらなる円高に振れるだろう。

OECDが発表した今年の経済成長率は、欧米が厳しいのに対して、日本はプラス成長の予測だ。この原動力となっているのが円安と金融緩和によるもの。昨年は日本でもエネルギーや穀物高が起き、多くの企業が値上げを余儀なくされた。その値上げが「賃金上昇」に繋がるところまで、あともう少しだ。日銀の金融政策の転換による過度な引き締め策で、円高に進めば日本経済へのダメージは大きい。今のタイミングで、経済を冷やす政策を取ってはならない。

文=馬渕磨理子 編集=露原直人

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