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2022.12.18

「アフリカ版アマゾン」が模索する、苦境脱出に向けた取り組み

Getty Images

アフリカ版アマゾン、もしくはアフリカ版アリババと呼ばれるジュミアは、2019年にアフリカの大手テック系企業として初めてニューヨーク証券取引所に上場したが、以来、苦戦が続いてきた。

同社は目下、利益拡大に向けて取り組んでいる。その手はじめが、60人規模のドバイ事務所の閉鎖だ。マネージャーはそれぞれの地域の国に移り、大半はモロッコ、ケニア、コートジボワールへ行くことになる。かつてアフリカの14カ国で事業を展開し、評価額が30億ドルにのぼっていたジュミアの時価総額は、いまや4億7400万ドルにまで低下している。

利益よりも成長を優先させるというジュミアの初期戦略は裏目に出ており、11月には共同CEO(最高経営責任者)と創業者が離脱した。同社は投資家に対して、2022年までの黒字達成を目標にしていると言い続けてきた。その目標には手が届かないように見えるが、それなりの説得力はある。

ジュミアの第3四半期決算では、手数料、広告、ロジスティクスなどの付加価値サービスが急増するなか、売上が前年同期比18.4%増の5050万ドルに達したからだ。だが、コア市場で損失が続いていることから、投資家の買い意欲には依然として疑問符がついている。ジュミアの株価は、これまでに65%超の急降下となっている。

11%の持ち株を売却したロケット・インターネットなど初期の主要出資者の動向も、他の投資家を立ちどまらせる不安材料になっている。マスターカードは、2019年に行われたジュミアの新規株式公開(IPO)に先立って売りに出された同社の未公開株に5600万ドルを投資したが、現在ではその価値はわずか数分の一になっている。

さらに、IPO後に初めて行われた決算発表の際に、米証券取引委員会(SEC)に提出したフォームS-1書類に虚偽と「資料の食い違い」があったとしてシトロン・リサーチから批判されたことも記憶に新しい。また、そのほんの数カ月後には、いくつかの不正注文が原因で、受注額を誤って1750万ドルほど過大に計上していたことをジュミアが明らかにした。ただし同社幹部によれば、財務報告書への影響はなかったという。

かつての「アフリカのユニコーン企業」の先行きが、常に暗かったわけではない。パートナーシップという点では、いくつかの着実な前進も遂げてきた。物流サービスUPSは、ジュミアがアフリカ市場で築いてきた3000の配達・受け取りポイントを活用し、UPS利用者の自宅玄関まで、荷物を直接届けられるようにする計画だ。

国連開発計画(UNDP)によれば、アフリカ経済におけるデジタル取引の規模は、2025年までに1800億ドルに達するという。また、アフリカ大陸への進出を検討するグローバル企業が増えるのに伴い、UPSと結んだような提携は、ジュミアの戦略における大きな要素となる可能性がある。

おそらく、ジュミアをアマゾンに、あるいはアリババのような企業になぞらえるのは、やや見当違いだろう。というのも、アマゾンやアリババは、現在のジュミアと同等の時点でも、常にジュミアよりも大きな利益を出し、急速に成長していたからだ。

また、ドイツで法人化され、ドバイに本拠を置き、その間ずっと自らをアフリカの企業と定義してきたジュミアは、絶えずアイデンティティの危機に直面してきた。同社は現在も、常任のCEOを探している。さらにブルームバーグによれば、アマゾンは来年早々にも、アフリカのなかでも比較的大きな市場のいくつかでEコマースサービスを拡大する計画だという。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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