2023年の株式市場の漢字は 「安」「上」「高」

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2022年も残りわずか。歴史的な円安やFRBによる利上げなど、2022年は日本のマーケットにとって厳しい一年となった。そんな中、投信投資顧問会社のスパークス・アセット・マネジメントが全国の20~79歳の投資経験者1000名を対象に、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2022」を実施。

その結果から、日本の投資家が考える2023年の日本株式市場の展望と日本経済成長のために必要なこと、成長が期待できる分野などが見えてきた。

まず、株式投資家に2023年の日本株式市場を表す漢字を尋ねたところ、1位に「安」「上」(同率)、3位「高」、4位「昇」、5位に「明」「戻」「乱」(同率)という結果に。

それぞれの漢字を選んだ理由について、1位の「安」では「まだ円安が進みそうだから」「安心して投資ができるように値動きが安定してほしいから」、「上」では「景気が緩やかに回復して株価も上昇すると思うから」や「株価が上がり、景気が回復することを期待したいから」という回答が寄せられた。

続いて3位の「高」では「最高値を更新してほしいから」、4位の「昇」では「円安やコロナ、ウクライナ情勢が落ち着いて株価が上昇すると思うから」、5位の「明」では「明るい方向に転じてほしいから」、「戻」では「景気回復を予想しているから」、「乱」では「世界情勢が不安定になりその影響を受けそうだから」という答えが並んだ。

円安の継続や地政学的リスクを懸念する声が目立つ一方で、景気回復、経済活性化を期待する声もあがった。


来年以降の日本経済成長のために必要だと思うことについては、「過度な円安の是正」が43.3%で最多に。続いて「ウクライナ情勢の解決」(42.9%)、「持続的な賃金上昇」(42.7%)、「新型コロナウイルス感染症の収束」(40%)、「物価高騰の抑制」(38.5%)の順になった(複数回答可)。

さらに、2023年4月に日本銀行の黒田総裁が任期満了となることを受けて、その後任に期待する金融施策を聞いたところ、「緩やかな金融引き締め」が最も多く44.6%。「急激な金融引き締め」(6.5%)と合わせると、「金融引き締め」の回答が半数を占める結果に。

一方で、現状維持策である「大規模な金融緩和」は20.7%に止まり、金融引き締めによって利上げを行ない、円安やインフレを抑制してほしいという投資家たちの期待が浮き彫りになった。

今後、長期的に成長の期待が持てそうだと感じる市場については、「環境エネルギー(水素燃料など)」が33.6%で1位に。次いで「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」(32.6%)、「知能化技術(AI・自動運転車など)」(31.1%)、「ロボット工学(家庭用・産業用ロボットやドローンなど)」(27.6%)、「情報・通信技術(IT/ICT)」(23%)が並んだ(複数回答可)。


また、株式投資家に将来の日経平均株価がいくらになるか予想を聞いたところ、1年後の2023年12月末については最多の回答が「2万5000円~3万円未満」で39.7%、平均は2万7587円。約10年後の2032年12月末については「3万円~3万5000円未満」が最も多く(24.9%)、平均は3万1364円だった。

なお、2022年の日本株式市場を表す漢字を尋ねたところ、 1位に「安」、2位に「乱」、3位に「円」がランクイン。うち1位の「安」と3位の「円」をあげた理由については、「株安、円安の1年だったから」や「歴史的な円安だったから」、2位の「乱」については「乱高下が激しかったから」などというコメントが寄せられた。

他にも4位に同率で「高」(物価やドルの価値が上がった年だったから)と「戦」(戦争の状況に左右されたと思うから)、6位に「下」(株価が下がったから)が入った。

文 = 大柏真佑実

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