企業価値が10億ドル(約1370億円)以上のユニコーンであるNotCoは2025年をめどに新規株式公開(IPO)を計画しており、それに向けて積極的な準備も進めている。現在の企業価値は推定15億ドル(約2060億円)。
米VCのプリンスビル・キャピタルが主導した今回のラウンドにより、NotCoの累計資金調達額は4億ドルを超えた。これまでにベゾスの投資会社ベゾス・エクスペディションズのほか、ヘッジファンドのタイガー・グローバル・マネジメント、飲食店運営のユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループ、プライベートエクイティ(PE)ファンドのLキャタルトン、VCのトゥルースデール・ベンチャーズなどの出資を受けている。
NotCoは、さまざまな植物性成分を活用して動物性食品そっくりの風味や香り、食感を生み出す技術で知られ、代替ミルクの「NotMilk」、代替パテの「NotBurger」、代替チキンの「NotChicken」といったブランドを展開している。米国で12の特許を取得しており、これらは協業先の米食品大手クラフト・ハインツにライセンス供与されている。
イチゴとトマトからチキンの味を生むAI
NotCoの共同創業者であるマティアス・ムシュニクCEOはGiuseppeについて、植物性成分の風味や機能性、組成に関する膨大なデータを蓄積し、拡大しているため、法人顧客はその機械学習とアルゴリズムを活用して研究開発を加速できると説明する。「顧客それぞれの要望に応じたサービスを非常に効率的に提供していくことができる」とも強調している。
Giuseppeは目的の異なる4つのモジュールで構成されている。
対象となる動物性たんぱく質を代替する植物性成分の調合を生み出す「Biagio」。食品科学者らが製品をスケールアップするために成分の理解を深めるのを手助けする「Discovery」。対象の動物性食材にもっともよく似た植物性食材の試作品を企業が開発できるようにする「Toolbox」。そして、食材のなかに自然に存在する香り成分をマッピングする「Flora」だ。
これらによって「パイナップルとキャベツを組み合わせてミルクの味わいや滑らかさをつくり出したり、イチゴとトマトを使ってチキンの風味を生み出したりたりする」(ムシュニク)ことが可能になったという。
NotCoがシリーズDラウンドを延長したのには、当面の厳しい経済環境に耐えて健全なキャッシュフローと将来の収益性を確実にする狙いもある。ムシュニクは「2025年までのIPOに向けた万全な計画がある」と述べ、ラウンド延長による資金調達はIPOの準備にも役立つとの考えを示している。
(forbes.com 原文)