欧州の空の旅では「機内モード」が不要に、EUが新規則導入

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欧州委員会は、航空会社が飛行機の機内で5G接続を提供することを許可した。これを受け、欧州では機内モードの時代は終わりを迎えようとしているが、米国では異なる帯域の5Gが使用されているため、現状のルールがすぐに変わることは無さそうだ。

欧州委員会は11月下旬、欧州連合(EU)の加盟国において、飛行機内で5G接続を利用することを許可した。これにより、飛行機の乗客は地上にいる時と同様に電話、テキストメッセージの送受信、データ通信が可能になる。EU加盟国は、遅くとも2023年6月30日までにこの基準に従う必要があるという。

しかし、米国の5Gの周波数は欧州で使用されている周波数よりも高い帯域であるため、米国がすぐにフライトでの5G通信を許可することはなさそうだ。連邦通信委員会(FCC)によると、米国で使われる5Gは、Cバンドと呼ばれる高速バージョンで、3.7~4.2GHzの電波を使用している。これに対し、欧州の大部分で使われる5Gは、3.3~3.8GHzの電波を用いている。

AT&Tやベライゾンなどの通信事業者がCバンドの5Gを使い始めるなか、米国では高い周波数の5Gが通信システムに与える影響が議論を呼び、航空無線技術委員会は2020年に「Cバンドが航空機に有害な干渉を引き起こす」という報告書を発表していた。

ただし、仮に機内での5Gの利用が認められても、高い高度を飛行する航空機内では、地上のセルタワーの圏外になるため、「ピコセル」という小型の基地局を機内に設置しない限り、5G通信を行うことは不可能だという。

米国では、携帯電話の電波が航空機の計器に干渉する恐れがあるとして、1991年に連邦航空協会とFCCが機内での携帯電話の使用を禁止した。しかし、アメリカ人の多くは、この規則を無視しており、旅行保険会社アリアンツ・グローバルの2017年の調査では、40%の人が携帯電話を機内モードにしないことが分かった。

また、AT&Tの2019年の調査では、15人に1人が機内モードを使用せず、67%が飛行中に携帯電話を完全にオフにしていることが判明した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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