Web 3では3Dの没入型体験が可能になり、新たなビジュアルコンピューティングの世界では、ヘッドセットが重要なインタラクションの手段になることが想定される。4社のうち、アップルとメタはより包括的なアプローチで臨んでおり、自らのプラットフォームやヘッドセットを中心にメタバースを構築しようとしている。一方、マイクロソフトとグーグルのアプローチは、よりオープンスタンダードなものといえる。
マイクロソフトは、メタバース向けのWindows OSを提供し、Azureのバックエンドサービスに結びつけたいと考えている。グーグルは、メタバース用のAndroid OSを作り、グーグルのバックエンドサービスに結びつけたい考えだ。ウィンドウズやAndroidが多くのコンピューティングデバイスのOSとして使われているのと同様に、メタバース向けもオープンプラットフォームになると予想される。
アップルは、iOSをベースにしたクローズドな環境のAR向け OSを開発しつつ、最終的には、MR-ARソリューションやサービスを動かすバックエンドを所有することを目指している。
メタがメタバース構想を立ち上げて1年が経ったタイミングで、マイクロソフトが参画したのも、同じ理由からだ。マイクロソフトは、Azureをメタが提供するメタバースのバックエンドにしたいと考えている。
クアルコムの動き
メタバースOSを巡る競争は、11月に開催されたクアルコムのイベント「Snapdragon Summit」でより鮮明になった。このイベントで、クアルコムはVR-XRやARグラス向けの新SoC「AR 2 Gen 1 Chip」を発表した。
このチップは、クロスプラットフォーム、クロスOSのヘッドセットに対応しており、アップルとグーグルを除くヘッドセットの多くで採用されると思われる。アップルは、ARグラスに同社のMシリーズチップを使用する予定で、グーグルはカスタムチップセットの搭載を予定している。
グーグルは、VR-ARプロセッサを独自開発していると言われているが、クアルコムのAR 2 Gen 1や、それと組み合わせが可能なWi-Fi 7対応の通信チップセットの性能を考えると、いずれはクアルコム製チップを採用しても不思議ではない。これらのOSを巡る競争は、業界にとって非常に重要な問題だ。大半の人は、インターネットがより視覚的で、没入感のあるコンピューティング環境に向かうと考えている。
既存のデバイスを使って2Dや一部の3Dシミュレーションをクロスプラットフォームで扱う上で、Web3は不可欠なものになるだろう。しかし、3Dの没入型仮想空間で生活し、働き、遊ぶというメタバースの真の約束を実現するためには、ヘッドセットが必要になると考える人が多い。