このデータは、レビューサイト「デジタル・ドットコム(Digital.com)」の調査により明らかになったものだ。こうしたソフトを導入する主な理由として雇用主は、従業員の時間の使い方をよりうまく理解することを挙げている。
問題は、従業員の中には自分が監視されていることにさえ気づいていない人がいて、監視に気づいている人はそれを嫌っていることだ。
ビジネス・インテリジェンス企業モーニング・コンサルト(Morning Consult)の調査によると、テック系労働者の半分以上は、雇用主が生産性追跡のために音声や映像の録音、さらには顔認証を使用すると主張したら仕事を辞めると答えている。
調査会社フォレスター(Forrester)の2023年の予測では来年、信頼が企業の優先事項になることが見込まれている。しかし、従業員の監視を増やせばこうした信頼は下がるのではないだろうか?
雇用主は、労働者の生産性を確保したいと主張するが、この手法は逆効果を生みかねない。ここでは、従業員の監視が確実に裏目に出る理由をいくつか検証しよう。
1. 従業員の監視は怒りを生む
監視されている従業員は偵察されているように感じ、ストレスや不安、怒りが生まれる。そしてこうした状況は、新型コロナウイルス感染症の流行下で深刻化し「国際的な危機」とさえ呼ばれている燃え尽き症候群の広がりにより、一層悪化する。
従業員の監視は士気に悪影響を与えることから、人々に自分は過小評価されていると感じさせるずになり、有害な企業文化を生む可能性がある。そうなれば、従業員の離職率は悪化し、採用の取り組みに影響が出る。
2. 従業員の監視は正確に行えない
オフィスで過ごす時間が長いからといって生産性が上がるわけではない。従業員監視ソフトを使って生産性を測る場合も同様だ。
上司がキーボードの動きを追跡しても定量化できないような戦略やリーダーシップ、創造性などのソフトスキルが重要になる仕事もある。追跡ツールは人々の行動にのみ注目していて、仕事の生産性を上げるような他の側面を完全に無視している。