FTXの破綻処理は10年以上に及ぶ可能性
レイのキャリアで最大の倒産劇となったのが、CEOが12年間服役したエンロンの破綻だった。彼は、2001年のエンロンの破産申請後に、更生会社の会長として、230億ドルの事業整理を監督した。
「彼は現実主義者だった」と、レイと共にエンロンの取締役を務めた会計士のジム・ラティマーは言う。「レイは裁判所が何を考慮するか、さまざまな債権者のために会社が何をできるかを把握するための優れたセンスを持っていた」と彼は話した。
レイはまた、1990年代のハイテクバブルの絶頂期には2500億ドルの時価総額を誇ったカナダの通信機器大手「ノーテル」の破綻処理にも関わった。同社は、会計スキャンダルと経営陣の不手際で2009年に破綻し、何年にもわたる訴訟と資産売却の末、70億ドル以上を債権者に分配した。
ハーバード大学のエリアス教授によると、レイは、複数の仕事を同時にこなす多くのこの分野の専門家とは違って、一度に一つの案件に専念することで知られ、何年もの時間を費やして破綻処理にあたるという。FTXの場合、レイはまず会社の貸借対照表を作成するための資産を探し出し、債権者のために資金を取り戻す方法を考える必要に迫られる。このプロセスには、多くの責任の追及と訴訟が含まれる可能性が高い。
この種の事件は、以前のエンロンの事件のように、解決までに何年も、あるいは10年以上がかかる可能性がある。「彼は、エンロンで非常に素晴らしい仕事をしたが、今回の件はエンロンよりも混乱が大きく、難しい仕事になるかもしれない」と、かつてレイと共にエンロンの破綻処理を手がけた法律事務所Akermanのマーク・リヒテンシュタインは語った。
(forbes.com 原文)