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2022.11.24 13:30

将来の売上を奪う消費者の「飽き」という怪物を倒すマーケティング戦略

Getty Images

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すべてのマーケティングリーダーが直面する問題、それは「飽き」というモンスターである。確かに、消費者や顧客に買ってもらうことはできるが、その製品やサービスを使うことに飽きてしまうのではないだろうか?

私が以前、継続教育の副学部長を務めていたカリフォルニア大学サンディエゴ校ランディ・スクール・オブ・マネージメントのマーケティングの教授であるオン・アミールは、消費者が「飽き」のために多くの製品やサービスを十分に利用していないことを発見した。

「飽き」というモンスターが将来の売上を奪っているかもしれないのだ。

アミールによれば、製品の消費は製品の売り上げに直接影響を与える。彼の研究は、多くの消費者が、使うように勧められるほど商品を使わないことを明らかにしている(Lieberman, Morales, and Amir, “Tangential Immersion: Increasing Persistence in Boring Consumer Behaviors,” Journal of Consumer Research, October 2022)。

例えば、アミールは電子メールによるインタビューで、消費者の歯磨きの時間が短すぎる(そのため新しいブラシを購入する頻度が少ない)ことや、多くの人が家の掃除を早々にやめてしまう(細菌を残すだけでなく、掃除用具の使用量が少なくなる)こと、フィットネス機器やジムの会員権を十分に使っていないことを紹介した。

「消費者が飽きることによって製品を使わなくなるという洞察は、企業にとってWin-Winの機会をもたらします」と、アミールはいう。「電動歯ブラシオーラルBのブルーストライプが効能を向上させながら使用量と消費量を増やしたように、企業は製品の使用量とエンゲージメントを高めることで、売上と顧客価値の向上を実現できるのです」

アミールの研究は、心理学と経済学の原理を用いて、さまざまな市場環境において成功する戦略を特定することに重点を置いている。彼は、顧客のさまざまな意思決定メカニズムと、それらが価格設定やプロモーション戦略、リスクや不確実性の下での意思決定、選好の力学に及ぼす影響について研究している。彼は、また、意思決定や行動経済学の研究から得られた知見が、ビジネス慣習や政策立案の改善にどのように活用されるかについても執筆している。
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翻訳=上西 雄太

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