テクノロジー

2022.11.24 14:00

ウェッブ望遠鏡、稼働直後に初期銀河が存在する「未知の世界」を発見

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は宇宙と同じくらいの年齢の遥か彼方の銀河を発見していた(Getty Images)

これまでに見つかった地球から最も遠く、最も古い星の光を、NASAの100億ドル(約1兆4000億円)の宇宙望遠鏡が、昨年夏の正式科学運用開始からわずか数日後に発見していたことが正式に確認された。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、ビッグバンに近い138億年前(宇宙が始まった時期)に存在していた複数の初期銀河の「未知の世界」を見つけた。以前の機器が検出したことがなかったものだ。この望遠鏡が、空間と時間を超えてやってくる古代の赤外線光を検出するために作られているため発見することができた。

その2つの古代銀河は、Abell 2744と呼ばれる巨大な銀河団のはるか数十億光年彼方で見つかった。これらの初期銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡などが可視光で見ることのできる天の川銀河近くにあるものとはまったく異なって見える。GLASS-JWST Early Release Science Program(GLASS-JWST早期公開プログラム)およびCosmic Evolution Early Release Science Survey(宇宙進化早期公開科学調査[CEERS]による最も重要な2つの発見、それは2つの銀河がビッグバンのわずか3億5000万~4億5000万年後に存在していたことだ。GLASSとCEERS、双方の論文がAstrophysical Journal Lettersに先日、掲載された。


これまでに発見された最も遠くの銀河が、このウェッブ画像のAbell 2744銀河団の外側領域に捕らえられている。これらの銀河は銀河団の中ではなく、何十億光年も彼方にある。中央上の銀河は左側の画像から抽出したもの。ビッグバンのわずか4億5000万年後に存在していた。中央下の銀河は右の画像から抽出したもの。ビッグバンから3億5000万年後に存在していた。どちらの銀河も、138億年前に起きたビッグバンと時間的に非常に近く見えている。2つの銀河は私たちの天の川銀河と比べると小さく、中央上に見える予想外に引き伸ばされた銀河でもわずか数%のサイズしかない(NASA, ESA, CSA, T. TREU [UCLA])

どちらの銀河も意外なほど小さく(天の川銀河のわずか1%のサイズ)、球形で明るく急速に星々を生み出している。それらはビッグバンのわずか1億年後に星を形成していたと考えられている。この考察は、JWSTの赤外線超鮮明画像によってのみ可能になった。「これらの銀河は天の川銀河などの私たちが現在見ている大型の銀河とは大きく異なります。見るものすべてが新しい」とウェッブ・プログラムの共同調査官でカリフォルニア大学ロサンゼルス校のトマソ・トゥルーはいう。

JWSTによる即時の発見は、天文学者を当惑させた。「これらの銀河はおそらくビッグバンからわずか1億年後に合体し始めたと思われます」とカリフォルニア大学サンタクルーズ校のガース・イリングワースは述べた。「この原始宇宙は現在の時代のわずか100分の1しか存在していなかったはずです。暗黒時代がそんなに早く終わっていたとは誰も想像しませんでした」

1つの説は、これらの明るい銀河は多数の低質量恒星からなるために高質量であるというもの。あるいは、質量は大きくないが数少ない非常に明るい(種族IIIと呼ばれる)恒星が含まれているという説もある。後者が真実なら、JWSTは宇宙に生まれた最初の星々をすでに検知したことになる。

「これは天文学のまったく新しい章、まるで遺跡の発掘で突然未知の都市を見つけたようなものです。とにかくこれは驚くべきことです」とGLASS-JWST論文の第4著者であるパオラ・サンティニはいう。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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