ビジネス

2022.11.21 09:00

人口1000人の町でスタートアップ支援をする理由


スタートアップのエコシステムを繁栄させるのに必要な要素はtalent(人)、capital(お金)、density(密度)、culture(文化)、government regulation(政府の規制)の5つであり、この5要素に基づいて分析し、そしてそれぞれの長短を伸ばし補っていくことでエコシステムを改善してゆくというものだが、この手法が地方都市またはマイノリティのコミュニティの問題解決にも適用できると考えている。

人口3000人の街であれば、5つの10億円企業が、地方経済を完全に変革することができる。地方都市が集まり、長短を補い合えば、大都市に打ち勝てると確信している。

地方でのスタートアップコミュニティ形成を通して実現したい世界は何か。すべての人が起業家を目指せる世界だ。起業を望む、望まないはもちろん個人の自由だが、万人に平等に機会が与えられるべきだ。私は世界中の多くの場所で、アントレプレナーシップが人々のさまざまな壁を壊すのを見てきた。たとえそれが女性であれ、シリアの難民であれ、アントレプレナーシップが人のマインドを変え、人々を対等な関係に置く。

もうひとつ述べておきたいのが、アントレプレナーシップのいままでとこれからの違いだ。いままではアントレプレナーシップというと、実際どう会社を立ち上げるかのスキルに関するものだったが、これからは違う。人間性を中心に据えた、コミュニティや個人の成長を重視したものになっていくと思う。

マイノリティコミュニティに関していえば、共同体にはそもそも免疫システムのようなものがあり、マイノリティ、例えば女性であったり少数民族であったりという人々を自然と巻き込んでいこうとする力がある。これはSWでの活動を通じて強く実感したことだ。

マーク・ネイガー◎スタートアップウィークエンド共同創業者。2016年にコロラド州に移住。現Greater Colorado Venture Fundファンド・ディレクター、堀江愛利が日本で運営する女性起業家支援プログラム「Amelias(アメリアス)」のアドバイザーでもある。

文=岩坪文子、荒川未緒 イラストレーション=細山田 曜

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