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2022.11.14

FTX破綻で社員らも悲鳴、「1300億円相当」の株式報酬が紙クズに

FTX創業者のサム・バンクマンフリード(Getty Images)

暗号通貨取引所FTXの破綻によって創業者のサム・バンクマンフリードはビリオネアの地位を失った。さらに、同社の突然の崩壊は少なくとも20名のビリオネアの資産に打撃を与えている。

バハマに拠点を置くFTXとその米国子会社のFTX U.S.は11月11日に突如、破産を申請し、バンクマンフリードと共同創業者のゲイリー・ワンの資産は数時間のうちに蒸発した。さらに最大の外部投資家であるセコイア・キャピタルと、その3人のビリオネアのパートナーたちは、同社への投資をすべて減損処理すると宣言した。

ダグ・レオーネ、マイケル・モリッツ、ニール・シェンの3人のビリオネアが運営するセコイアは、2億1350万ドルをFTXに投資し、ピーク時の持ち株の価値は4億2500万ドルに及んだが、9日にその評価額をゼロにすると発表した。

ピーク時の評価額の合計が400億ドルに達したFTXとFTX U.S.の2社は、2019年以降に22億ドルを調達したが、その過程で少なくとも17人の別のビリオネアが資金を投じていた。

FTXの競合のバイナンスの創業者でCEOのジャオ・チャンポン(通称CZ)が運営する投資会社バイナンス・ラボは、2019年8月にFTXが800万ドルを調達したシードラウンドに参加した。CZは8日にFTXを買収するとツイートしたが、その1日後に「デューデリジェンス(資産査定)の結果と、最新の報道を受けて手を引く」と発表した。

バイナンス・ラボは2019年12月のFTXのシリーズAにも参加したが、このラウンドには最近の投資成績が冴えない孫正義のソフトバンクが参加していた。また、ハイテク株と中国株の下落を受けて今年10月末までに54.7%の評価損が報じられたヘッジファンド「タイガー・グローバル・マネジメント」も参加していた。

FTXは2021年7月に、評価額180億ドルで10億ドルを調達したが、このラウンドにはコインベースの投資部門「コインベース・ベンチャーズ」などの59社以上が名を連ねていた。また、孫のソフトバンクはさらに資金を投入し、セコイアも最初の投資を行っていた。

ヘッジファンドの「サードポイント」を率いるダニエル・ローブも、このラウンドに参加した。また、彼のライバルの投資家のイスラエル"イジー"イングランダー、アラン・ハワード、ポール・チューダー・ジョーンズ、ダニエル・オックの4人も参加した。さらに、カール・トーマとオーランド・ブラボーが運営する投資会社「トーマ・ブラボー」も投資を行った。
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編集=上田裕資

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