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2022.11.06 12:00

しーん、と音なしのスーパーカー「アルトゥーラ」PHEVは新しいことだらけ

アルトゥーラPHEVに試乗する筆者


レース場のマクラーレン
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アルトゥーラは、マクラーレン初の3リッターV6エンジンに2つのターボを搭載。リアミドシップのエンジンにモーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッド・パワートレインを採用している。エンジン単体で最高出力は585psで、最大トルクは585Nmを、モーターは95ps、225Nmを発生する。つまり、システム最高出力は680ps、同最大トルクは720Nmを誇るし、組み合わさった新開発の8段DCTのシフト・フィールがとても速くて気持ちがいい。

エンジンの上部には、ターボの熱を放出するための、チムニーと呼ばれるエアアウトレットが配置される。ゼロから100km/hまでの加速は、たった3秒しかかからない。やはり、PHEVとの組み合わせなので、ゼロからの発進や、高速道路での合流する時の加速も、瞬間的で非常に速い。音無しのEモードでは、走行距離の31kmだし、その速度は130km/hまでとなっている。

V6ツインターボとモーターは、スムーズにパワーを伝達し、今回の試乗では、「Electric」、「Comfort」、「Sport」、「Track」の4つのドライブモードから選べる。どのモードをセレクトしても、エンジンとモーターのコンビネーションに違和感を覚えることはなかった。モーターからエンジンへの切り替えは、エンジンの始動音によってハッキリと気づかされるが、トルクの落ち込みやショックはなかった。また、制限速度内であれば山道の上りであってもEV走行でパワー不足を感じることはない。非常に優秀で力強いパワートレインだと感じた。
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メーター液晶部分

シフトボタン部分の写真

ステアリングは、アルトゥーラの一つのハイライトと言っても良い。ちょうど良い重さと手応えで設定されたステアリングフィールは申し分ない。コーナーの合わせてステアリングを入れると、クルマは自然に狙った方向を完璧に方向を変える。これはスーパーカーのステアリングのお手本と呼んでいいだろう。6ピストンのブレーキのフィールや制動力もドライバーに自信を与える。

ただ、10年前に乗った「MP4-12C」とは違い、サスペンションはより固めだった。「MP4-12C」は通勤に毎日乗れるほどしなやかな乗り心地だったけど、アルトゥーラは、「Comfort」でも多少硬い感じはした。

価格は3070万円ということで、やはりそこそこしっかりしたお値段になっている。「アルトゥーラ」はとてもよくできたスーパーカーではあるけど、やはり、どんどん電動化される普通車と、2000万円以上のスーパーカーやラグジュアリーカーに求めるものは違うような気がする。やはり、それだけのお金を使ってクルマを買うと、五感をくすぐって欲しいと思う。

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だから、車両を発進する時に音も振動も快感も何もなければ、不満を感じるんじゃないかなと思う。僕だって、正直な話、今回「アルトゥーラ」に乗って沈黙のEVモードでピットから出て行った時に、違和感を覚えた。とは言え、全世界のユーザーがこれから来る電動化時代に慣れる必要があるとわかっている。それでも、やはり、多くの富裕層にとって、五感をくすぐることが段々と消え、居心地の落ち着かない時代が始まるような気がする。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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