おそらく最も重要なことあ、西側諸国の外交官や政治家は戦前の自国とウクライナの力関係がどうであれ、プーチンの侵攻によって関係が劇的にウクライナ有利に変化したことを認識しなければならない。プーチンの非人道的な砲撃によって、ウクライナのインフラが破壊されているのは確かだ。その修復には何年も何十億ドル(何千億円)もかかるだろうが、それは時間をかければできる。そう簡単に修復されないのは、ウクライナがロシアの隣に存在し、ロシアの許容範囲で独立を保ってきた小さく、危機に瀕し、そしてある程度孤立した国だったという理解だろう。それはもはや真実ではない。
ここで浮かび上がる疑問は、戦後のウクライナは1948年のアラブ・イスラエル戦争(およびその後の戦争)で隣国と戦い、人口と経済力に不釣り合いな軍事力を持ち、主に親西側の独立国家としての地位を確保したイスラエルのようになるのだろうか、それとも別の何かに進化するのだろうかというものだ。
ウクライナは欧州の穀倉地帯であり、世界の多くの国にとって穀物供給源だ。そして、ソ連時代には年間700億立方メートルあったエネルギー生産量が現在では年間20億立方メートルにまで減少しているものの、ウクライナは1兆300億立方メートルのエネルギー埋蔵量を抱え、ノルウェーに次ぐ欧州第2位のエネルギー生産国だ。
そのウクライナが想像以上に複雑で困難な問題に対処できることを示した今、ウクライナは投資を呼び込む可能性がある。実際、被災し、多くの場合破壊された都市はもちろんのこと、ウクライナのインフラ全般の再建は、ビジネスと政治の両面でインセンティブを見出すかもしれない欧米諸国にとって投資機会となる可能性がある。
つまり、ウクライナの人々は戦争がもたらした惨状から立ち直るために外部からの支援や投資を必要とすることは間違いないが、今や、自分たちの将来の運命を形成するのに他国に頼る必要がないばかりか、自分たちの戦略的地位と軍事力によって、将来を他国と同じように自ら形作ることができると感じているかもしれない。この基本的な事実は、欧州やその他の地域の今後10年を決定するのに影響するかもしれない。我々は今、それが何を意味するのかを考え始めた方が良さそうだ。
(forbes.com 原文)