キャリア・教育

2022.10.27 13:00

意外にも苛烈なハワイの教育事情 待つのは名門私立校をめぐるお受験戦争


ハワイの政治・経済を牛耳る卒業生


「プナホウは白人が多く、イオラニはアジア系が多い」「プナホウの生徒は明るく、イオラニは真面目」など、とかくライバル校として扱われることも多く、その点も含めてまるで日本の「早慶」のような位置付けだ。

筆者の印象では、福澤諭吉との縁も含めてもっぱらプナホウが慶應、イオラニが早稲田といったところか。何となく互いの校風もこの2校の違いに似ている気がする。ホームパーティーなどで子持ちの親が集まれば「プナホウ派」「イオラニ派」という話になるのも恒例である。

日本の地方などでは「出身大学より出身高校が重要」という風潮がよく聞かれる。東大や早慶など全国区の有名大学より地元の名門高校を出ているかどうかのほうが地元での出世に関係するというもの。県知事や県庁の幹部には、旧制中学からの歴史を持つ地元の名門高校出身者ばかりが名を連ねるという光景もよく見られる。

実は、ハワイもこれに似ている。なぜか、地元の名門高校を出て米国本土の大学に進学した人が、しばらくするとハワイに戻ってきて仕事をしている。有名大学のMBAホルダーが、ハワイの銀行や州政府などにはごろごろいて、人種としてはアジア系が多い。おそらくは人種差別のないハワイの環境がやっぱり居心地が良くて、戻ってきてしまうのだろう。


撮影:岩瀬英介

そんな彼らがさらに強い絆で結ばれているのが「高校の繋がり」なのである。「イオラニの仲間」「プナホウの同級生」などといった繋がりがとても強く、筆者の印象では、政治や経済のイニシアチブが出身高校の繋がりで決められていくように感じる。地元の有力者や地元の大手企業の経営者は、たいてい前述の2つのプライベートスクールを出ているのだ。

つまりは、こういうことになる。「将来的にハワイで暮らすつもりなら、悪いことは言わない。このどちらかの学校を卒業しておいたほうがいい」と。それならば、親心として自分の子どもはこのどちらかに入れたいと思う。そこで苛烈な受験戦争が始まることになるのだ。

文・写真=岩瀬英介

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