2200年前の星座早見盤発見が古代天文学に新たな光を当てる

ポセイドン神殿と夜空の星雲(Getty Images)

世界最古といわれる星座早見盤の断片が、古い写本の中に潜んでいるところが見つかった。ギリシャの著名な天文学者ヒッパルコスが紀元前2世紀に作成したものだ。

ヒッパルコスの星座早見盤は、肉眼で見える星の正確な位置を記録するという現在知られている最も古い試みだ。しかし、その星座表に何が書かれていたかを示す直接的証拠はごくわずかしかない。

Journal for the History of Astronomyに先週掲載された論文によると、ある科学者チームが『Codex Climaci Rescriptus(クリマチ・レスクリプトゥス写本)』と呼ばれる写本の中でヒッパルコスの星座早見盤にある複数の星座の断片を発見した。その写本は中世に上書きして再利用されていたエジプトの羊皮紙を集めたものだ(現在はワシントンD.C.の聖書博物館に収蔵されている)。研究チームはマルチスペクトル画像(特定の波長範囲内の光で撮影する)を使って断片を発見した。

そこで暴かれたのは驚くべきものだった。ヒッパルコス自身が計算した北天の星座Ursa Major(おおぐま座、北斗七星が含まれている)、Ursa Minor(こぐま座)、およびDraco(りゅう座)の星の位置は、驚くほど正確だと著者らは述べている。しかもそれらは、ヒッパルコスより後世の著名な天文学者であるプトレマイオスが4世紀も後に行った計算よりも正確だった。これによって、プトレマイオスの研究が独自であったことが確認され、疑われていたようなヒッパルコスの研究に基づいたものではなかった。

ヒッパルコスは古代で最も偉大な天文学者の1人と考えられている。彼は紀元前約190年から120年の間に生存し、太陽と月の動きのモデル化に成功した。さらに、地球の地軸が回転するコマのように振る舞い、2万6000年周期でゆっくりと円を描き、天の北極と呼ばれているものが定常的に変化していくことを発見した。この現象は春分点歳差と呼ばれている。

プトレマイオスは紀元100~170年頃にローマ時代のエジプトに生存し、緯度と経度を考案したほか、地球が宇宙の中心であるという説を提唱したことで最も有名であり、その説は以降1000年間天文学の基礎となった。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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