燃料費高騰の英国で冬を前に省エネ製品が品切れ続出

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燃料費の高騰にともない、英国の消費者は光熱費を抑えようとエネルギー効率の良い機器や器具の入手に奔走している。

エネルギーをかなり使うタンブル乾燥機やオーブンに代わる家電製品として、エアフライヤーや電気加熱レール、電気毛布などの人気が高く、小売業者は需要に応えるのに苦労している。

家庭用品小売のDunelm(ダネルム)は、タンブル乾燥機を使わずに衣類を乾燥させることができる過熱式の衣類干しの在庫がなくなった。一方、ディスカウントストアのAldi(アルディ)は39.99ポンド(約6700円)で販売している人気の過熱式衣類干しの再入荷を待っているところだ。

家庭用品とオーブン料理用品を専門に扱う小売のLakeland(レイクランド)でも、過熱式衣類干しなどの商品に対する「かつてないほどの需要」があるという。一部の消費者はソーシャルメディアを通じて入荷待ちの時間や顧客サービスの問題に対する不満を表している。

「現在の生活費危機はここ数週間から数カ月の間に特に自社ブランドの過熱式衣類干しのような省エネ製品への空前の需要を引き起こした。需要に対応すべく、当社の購買チームは24時間体制で追加の在庫を調達しているが、残念ながら現状ではかつて1週間分をカバーできたはずの在庫が今では1時間ももたない」と同社の広報担当者は説明する。

エアフライヤーは従来のオーブンに代わるものとして光熱費を大幅に削減することができ、非常に人気のある家電製品となっている。

スーパーマーケット大手のTesco(テスコ)ではフライヤーの売り上げが前年比200%増となり、冷凍食品専門のIceland(アイスランド)など他の小売業者も需要の急増を指摘する。

キッチン家電の大手メーカーNinja(ニンジャ)は、このトレンドに便乗して「嘘みたいな」価格を提示する詐欺的なウェブサイトについての警告を出す必要に迫られた。

Ninjaの広報担当者は「当社の製品、特にエアフライヤーの需要がかつてないほど急増していることを受け、当社製品を大幅に値下げして提供するように見せかける詐欺的なウェブサイトが増加している。新規・既存の顧客には、注文どおり当社の5つ星の製品を確実に受け取れるよう、当社の公式ウェブサイトまたは信頼できる小売店で購入することをお勧めする」と話した。

気温が下がるにつれ、英国の消費者はセントラルヒーティングに頼らず、自宅で暖を取るための代替品を探そうとしているようだ。

小売業者のBed Kingdom(ベッド・キングダム)によると「電気毛布」という言葉の検索が急増し、今月は推定4万1000人が電気毛布について調べているという。

英政府が10月12日に議会に提出したエネルギー価格法案は「エネルギー価格をコントロールし、この冬、企業や消費者の光熱費をサポートする」ことを目的としている。

しかし新財務相のジェレミー・ハントは「計画をかなり下回り」そうな緊縮財政の一環であるため、標準的な世帯の光熱費の上限を年間2500ポンド(約42万円)にするこの支援策は6カ月以内に見直す必要があると警告している。

ハントは「最も弱い人々」を支援することを約束したが、ほとんどの家庭が光熱費でさらなる不安に直面することを示唆しているように思われる。厳しい冬を前にして消費者は依然として不安を抱えており、省エネ家電製品に対する需要は今後も高まりそうだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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