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2022.10.22 10:00

科学者が注目する「冬虫夏草」の抗ガン作用を最大化する研究

Getty Images

韓国とエジプトの科学者チームが、学術ジャーナルFrontiers in Microbiologyに寄稿した論文で、昆虫に寄生するキノコを実験室で培養するためのメソッドを発表した。この発見により、ガンやウイルスと闘う新たな治療法が生まれるかもしれない。

冬虫夏草と呼ばれるノムシタケ属のキノコ(Cordyceps fungi)に含まれるコルジセピン(cordycepin)と呼ばれる化合物には、抗ウイルス作用や抗がん作用など、健康に役立つ作用があることがこれまでの研究で示唆されている。

このキノコは、玄米などの穀物を使って栽培することも可能だが、その場合はさほど多くのコルジセピンを生成できない。そこで研究チームは、より豊富なタンパク質源であり、自然界でこのキノコが寄生する昆虫を用いた実験を行った。

ミールワームやコオロギ、バッタなどさまざまな食用昆虫を用いた実験の結果、論文の著者のMi Kyeong Lee博士は、昆虫で育てた冬虫夏草は、玄米で育てたキノコに比べて「約100倍ものコルジセピンを含んでいることが分かった」と述べている。

コルジセピンの量は、与えられた昆虫によって異なるが、研究チームはタンパク質ではなく脂肪が重要な要因になることを発見した。Lee博士は今回の研究の成果が、より効果的かつ経済的なコルジセピンの生成につながることを期待しているが、現状ではまだ大規模な生成をもたらすほどの十分な昆虫を提供できていないと述べている。

冬虫夏草に属するキノコは、昆虫に寄生して増殖し、最終的には虫たちを死に至らしめることで知られており、中には昆虫をゾンビ化させてその体を支配し、他の虫に感染させる種も存在する。このキノコはアジアでは民間療法の薬としても使用されているが、多くの代替療法と同様にその効果を裏付ける厳密な科学的根拠は示されていない。

Lee博士によると、コルジセピンは抗ウイルス作用を持ち、最近の研究では、新型コロナウイルス感染症の治療薬としても期待されているという。冬虫夏草は、HBOのドラマ「Last of Us」に登場するゾンビモンスターのモチーフになったとされている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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