蒸留酒ベースの商品 レディ・トゥ・ドリンク分野をけん引へ

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ふたを開けてそのまま飲めるRTD(レディ・トゥ・ドリンク)のカテゴリーには鈍化の兆しはない。

アルコール飲料のデータ分析を行うグローバル企業IWSRの新たな報告では、RTDのカテゴリーの価値が今後5年で約116億ドル(約1兆7000億円)成長する見込みだとされている。

同カテゴリーの大幅な成長は、消費者の間でより高品質なRTD製品が求められていることによるものだ。このカテゴリーでは価値面の成長が8%と、量の面の成長率5%を上回っている。これは主に、蒸留酒をベースとした新製品の登場や知名度の高い高品質なブランドが拡張を遂げたことによるものだ。

このカテゴリーは、今後5年の間に量の面で24%の成長が見込まれている。これは大幅な成長だが、以前と比べるとそれほどでもない。過去2~3年はハードセルツァー(フレーバー付きの場合が多いアルコール入り炭酸飲料)の人気にあやかろうとこの分野に参入したブランドが相次いだため不思議ではない。

RTDカテゴリーでは米国がいまだに量と成長の面で最大の市場だが、ハードセルツァーの勢いがそがれる中で、IWSRはこれがいくらか鈍化すると見ている。

しかし、このカテゴリーにはまだ見込みがある。蒸留酒ベースのRTD(特にウオッカを使ったもの)がイノベーションを促し、今やRTDの45%を蒸留酒ベースのものが占めているのだ。小さなオールドファッションドやモヒート、ネグローニ、ジントニックなどの缶入りカクテルが、RTDの中で最も大きな成長を遂げているのだ。

IWSRは、蒸留酒ベースのRTDが2025年までにハードセルツァーを追い抜くと予想している。カクテル製品はカテゴリー全体の26%を占めるようになると見込まれているが、ハードセルツァーは20%だ。

IWSRのブランディー・ランド最高戦略責任者は「米国の消費者はRTDの便利さや豊富な種類に慣れ親しんできたため、蒸留酒ベースのカクテルに切り替える人が増えている。これは、米国における蒸留酒の全体的なプレミアム化の傾向や、バーで作られるカクテルの人気を反映している」と述べた。

またランドは「その結果としてハードセルツァーの量は史上最高値に達し、現在は低下することが見込まれているため、RTD全体で穏やかな成長水準になるだろう」とも指摘した。

ランドは「RTDのカテゴリーがしっかり定着し競争がこれまでになく激化していることから、ブランドの所有者らは一般的な認知度や流通を増やすために革新的な消費とブランドの拡張、あるいは提携関係に引き続き焦点を当てている」と説明し、「IWSRが年単位で追跡するRTD分野の革新からは、消費者の需要に応えるため急速な商品の変革が進んでいることが示されている」と指摘した。

同報告書は人口動勢の分析から、ある興味深いデータを紹介している。それは消費者の約50%は知名度の高いブランドからRTDを購入していて、地元産RTD製品の人気も高かったが、セレブが推薦するブランドは最も影響力が低かったというものだ。

ビールよりもRTDを選ぶ人が続く中で、消費者は同じ量のRTDに倍の額を支払うようになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=出田静

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