それが、今年になって、通称「月保険(Lunar Insurance)」が相次いで世に生み出されている。気になる補償内容は表の通りだ。
まず、三井住友海上の「月保険」では、月遷移軌道上でロケットから切り離されたランダー(着陸船)について、月面着陸するまでの間に発生する損害を補償する。打ち上げから月面着陸までをシームレスに補償するしくみを開発した。
また、東京海上日動火災は、国際宇宙保険市場の主要プレーヤーであるイギリスのBeazley PLCと共同で、ローバー(探査車)に関する「月保険」を開発。
月面探査ミッションにおいて、ローバーの故障や通信トラブルにより、予定していた月面探査のミッションを達成できない場合に、輸送費用やローバーの製造費用等を補償するしくみだ。
2022年中の打ち上げが予定されているダイモン社の月面探査ミッション「Project YAOKI」に提供することが決まっている。
ちなみに、これまでも数多くのロケットや人工衛星が打ち上げられているが、打ち上げ輸送事業者や衛星事業者らは、打ち上げの失敗による賠償責任や不具合などに備えて「宇宙保険」に入っている。
お目見えした「月保険」は、こうした宇宙保険のノウハウを活用して誕生している。
「宇宙旅行」は手に届く“夢”に
ところで、ファイナンシャルプランナーという仕事上、相談者のライフプラン設計をするにあたっては、夢を聞くことが多い。
以前は「マイホームの購入」という答えが多かったが、最近はすっかり、住宅は“夢”というよりは“ノルマ”だったり必要不可欠な“タスク”のひとつの位置づけに落ち着いている状況だ。
代わりに“夢”として近年ジワリ増えているのが「宇宙旅行」だ。自分が生きているうちに、宇宙旅行が技術的にも金銭的にも手が届く時代になっていたら、迷わず行きたいと語る人は多い。
なお、海外旅行と同様に、宇宙旅行にも宇宙旅行保険が重要だ。今現在、宇宙旅行保険は、本格的には運用されていない状況だが、JAXAと保険会社で共創活動が開始されたところだ。
月や他の惑星に人が暮らし、宇宙旅行に出かける時代はもうすぐそこかもしれない。技術的にも金銭的にも宇宙旅行が可能になったタイミングに、体力的な理由で断念ということが無いよう、健康管理にも気を配っておきたいところだ。