超加工食品、食べ過ぎると大腸がんや早期死亡のリスク上昇

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加工度の高い「超加工食品」は企業にとって製造コストを安く抑えられるメリットがあるようだが、その代償は消費者が払わされることになるのかもしれない。

最近、医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表された2つの観察研究では、超加工食品はあまり健康によくないのではないかという懸念をますます強めるような結果が示されている。一方の研究では、超加工食品を食べる頻度が高い米国人男性は大腸がんの発症率が高いことが判明。もう一つの研究では、加工食品を多く使った食事をしているイタリア人は、早く死ぬ傾向があることが確認された。

米国臨床栄養学雑誌2011年10月号に掲載された論文によると、米国人の摂取カロリー量に占める超加工食品の割合は2001〜02年の53.5%から2017〜18年には57%に上がっている。それも考え合わせると、今回の研究結果はいっそう気がかりなものになる。

ブラジルのサンパウロ大学の研究者らが考案した「NOVA」という食品分類法によると、超加工食品は加工度が最も高い食品を指し、通常、5つ以上の成分を含み、工業的に配合される。使われる成分にはカゼインや乳糖、乳清、グルテン、分離大豆たんぱく質、マルトデキストリン、転化糖などが挙げられる。これらの成分を加えると、食品の見た目や色合い、風味、香り、食感などが大きく変わる。

2つの研究のうち一つは米国人を対象としたもので、3つの大規模コホート(集団)の経過を解析した。3コホートは1986〜2014年の「医療従事者フォローアップ調査」に参加した男性4万6341人、1986〜2014年の「看護師健康調査」に参加した女性6万7425人、1991〜2015年の「看護師健康調査II」に参加した女性9万2482人。

参加者には4年おきに食品摂取に関するアンケートに回答してもらい、何をどれくらいの頻度で食べているかを調べていた。参加者のなかに調査開始時の段階でがんを患っている人はいなかったが、追跡調査した24〜28年の間に男性1294人、女性1922人が大腸がんを発症していた。そして、超加工食品の摂取量が最も多かった20%の男性は、最も少なかった20%の男性と比べて、大腸がんの発症率が29%高いことがわかった。女性に関してはこうした関連性は認められなかったという。

一方、イタリア人を対象としたもう一つの研究では2万2895人(うち48%が男性)を追跡調査し、食事に関するアンケートの回答結果とその後の死亡率の相関関係について調べた。調査期間中に2205人が亡くなっており、超加工食品の摂取量が最も多かった人たちは、最も少なかった25%の人に比べ死亡率が19%高く、心血管疾患による死亡率は27%高かった。

両研究はあくまで観察研究であり、超加工食品が大腸がんや早期死亡を引き起こすことを示したものではない点には留意しておく必要がある。超加工食品を多く摂取している人は、ほかにも健康的でない習慣を持っている可能性があり、それが大腸がんの発症や早期死亡の原因になっていることも考えられる。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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