英ロンドン拠点のコンサルティング会社キャピタル・エコノミクスの最新レポートによると、2022年すでに圧力を受けている中国経済はさらに悪化しそうだという。
こうした状況についてキャピタル・エコノミクスは次のような厳しい評価をしている。
・「金融界が先進国経済の近年稀に見るインフレ率上昇に注目しているため、世界の長期見通しにとって間違いなくもっと重要な中国の減速に対する注意が低下している」
言い換えると、中国経済が一層泥沼にはまるのを無視するのは危険ということだ。
すでに知られていることだが、世界鉄鋼協会によると中国の鉄鋼生産は8月までの1年間で5.7%減少している。中国は長らく世界最大の鉄鋼生産国であり、中国の生産減は世界規模で意味がある。
さらに悪いことに、世界のトップの鉄鋼生産国のうち、同期間に中国よりも業績が悪かった国が2つある。ロシアとトルコだ。どちらの国の経済も苦境に陥っている。
打撃は続いている。キャピタルのレポートによると、韓国から中国への輸出は9月の最初の3週間で減少した。同時に、韓国の対米輸出は増えた。
・「これは、生産チェーンの初期段階で韓国が材料を提供する中国産の消費財に対する世界的な需要が軟化している兆候かもしれない」とキャピタルのレポートは指摘している。筆者はこの点を強調したい。
平たくいうと、世界的に小売店の客足が遠のき、それがすでに中国に打撃を与えている。
8月のデータでは、中国国内の小売売上高も減少しており、9月はさらに減少するとキャピタルは予想している。
これらの材料をもとにした専門家の見通しは暗い。
・「先日、中国の今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを4%から3%に引き下げた。3月に設定された政府の5.5%という目標は密かに放棄されているが、現実には中国経済はまったく成長しないと考えている」
別の言い方をすれば、習政権下の中国の成長率は通常の堅調な上昇からゼロに落ちた可能性が高い。
大半の指導者が望むような成果ではない。
(forbes.com 原文)