食品価格の高騰が収まらない米国で、プライベートブランドが躍進

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プライベートブランドの勝者は?


全体的に見ると、消費者の購買行動において圧倒的なシェアを持つのは従来型のナショナルブランドだが、プライベートブランドはホットな領域となっている。食料品セクター全体の中でプライベートブランドが占める割合は5分の1以下だが、それでもかなり大きな部分と言える。

ニューメレイターが2022年8月に発表したデータによると、食料品売上のうち、ナショナルブランドの製品が全体に占める割合は82.6%。プライベートブランドが占める割合は17.4%だった。

だが、プライベートブランドの中でも、市場シェアを伸ばし、より多くの消費者にリーチしているのは、どこなのだろうか?

ニューメレイターのデータによれば、ウォルマートやコストコのような巨大小売店が多くのシェアを獲得している一方で、アルディやターゲット、アマゾンは急速に成長を遂げている。だが、総売上に対する割合を見た場合、消費財(CPG)のプライベートブランドの割合が高いのは、より小規模な食料品チェーンだという。

プライベートブランド躍進の原動力は?


こうしたプライベートブランドの急成長には、消費者の節約志向だけでなく、さまざまな経済的な要因が絡んでいる。プライベートブランドは、買い物客のロイヤルティを構築するのに役立つうえに、通常は利幅も大きい。さらにプライベートブランドは、冷凍食品や加工食品、調理済み食品などにもジャンルを広げている。小売業者は、製造を外部に委託しているため、商品を店舗内で製造する必要は必ずしもない。

インフレは大多数の者にとって悪いニュースだが、プライベートブランドにとっては、久々の願ってもない朗報だったかもしれない。ニューメレイターは8月の時点で、「食料品の価格は、一時的に横ばいになったかに見えたが、再び上昇を始めた」と指摘。さらに、7月の価格上昇率は前年比で15.4%と、「最高値を更新し続けている」と付け加えた。

食料品価格は、あらゆるセグメンテーションにおいて上昇している。郊外市場では16.1%、低所得層では15.5%、Z世代の消費者のあいだでも16.3%と、急激に値上がりしている。

「インフレ傾向が続くなかで、多くの消費者にとっては、ブランド名よりも価格のほうが重要になりつつある」と、ニューメレイターは述べている。「最近の数カ月を見ると、『価格のほうがブランド名より重要だ』と答えた人の数は、あらゆる所得層で増加している」

高所得層の3分の1以上にあたる39.5%、中所得層でも38.8%が、節約の手段としてプライベートブランドの商品を購入している。ニューメレイターも、「出費を抑えるため、中および高所得層でも、プライベートブランドの商品を購入する人が増えている」と指摘している。

収入の高低を問わず、節約できれば誰でもうれしくなるものだ。こうした消費者心理が、プライベートブランドにチャンスをもたらしている。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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