隠語や絵文字で禁止用語を表す「アルゴスピーク」がソーシャルメディアで激増

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例えば「cheese pizza(チーズピザ)」という言葉は、児童ポルノ画像の取引を持ちかけるアカウントで広く使われている。トウモロコシの絵文字はポルノについて話したり、ポルノに誘導しようとしたりするために頻繁に使用されている(TikTokでは多くの人がトウモロコシへの愛を歌っているという無関係なバイラルトレンドもあるが)。また、過去のフォーブスの報道では「天井にタッチする」といったありふれた文章が、フォロワーに体の一部をチラ見せしたり、自分の体を見せびらかしたりするよう若い女の子をおだてるのに使われるという、二重の意味があることが明らかになっている。

「私たちが最も懸念しているのは児童搾取と人間の不当な利用だ」とハンナは語った。これは「アルゴスピークの中で最も進化の早い分野の1つ」だ。

しかし、特定のアルゴスピークの用語を削除するか格下げするかはTelus Internationalが決めることではないとハンナは述べた。「ガイドラインを設け、問題があるかどうかを決定する」のはプラットフォームだという。

「私たちは通常、コンテンツに関して過激な決定を下すことはない。コンテンツはプラットフォームの所有者である私たちのクライアントが展開しているもの。私たちはクライアントに代わって作業をしているだけだ」

例えば、Telus Internationalは政治的・社会的な利害関係の強い場面ではアルゴスピークを取り締まることはないとハンナは述べ、一例として「キャンピング」を挙げた。顧客の中で特定のアルゴスピークを禁止している企業があるかどうかについては言及を避けた。

ハンナによると「キャンピング」は最高裁判決から24時間もしないうちに出現し、その後2週間ほどで急増したという。しかしアルゴスピークとしての「キャンピング」は「あまりにも一般的になり、もはや隠語ではなくなってしまった」ため、次第に衰退したと説明する。アルゴスピークの典型的な変遷はこうだ。急増し、多くの注目を集め、ある種のミーム化が始まり、やがて消えていく。

ハンナによると、ウクライナとロシアの戦争の前後にソーシャルメディアでは、AIによる検出を回避するために、例えば投稿者が「殺された」と「兵士」を同じ文章で述べるのではなく「unalive(生きていない)」という言葉を使用するなど、新しいかたちのアルゴスピークも出現しているという。
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翻訳=溝口慈子

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