ここ数週間、ガソリン価格は落ち着いてきたが、ファミリーカーへの燃料補給は、特に大型のSUVやピックアップトラック、高価なプレミアムグレードのガソリンで走るモデルを主要な交通手段としている多くの家庭にとって依然として経済的な負担になっている。このような状況から、消費者の給油の痛みを和らげるために、電気自動車に対する市場ニーズがこれまでになく高まっている。
残念ながら、ガソリン価格が高いという理由だけで、既存の内燃機関車を捨ててエネルギー効率の高いEVに変えるのは、通常、費用対効果が高いとはいえない。
何故なら日産リーフやシボレーボルトEVのように、3万ドル台前半から半ば(約400〜500万円)の価格で購入できる電気自動車が多少ある一方で、主流のモデルのほとんどはまだ4万ドル(約576万円)から5万ドル(約720万円)以上の価格帯で販売されているからだ。高級モデルはもっと高く、ポルシェのタイカンやルーシッドエアなどの最高級EVは、最高で10万ドル(約1440万円)台後半になる。
しかも、材料費の高騰と需要の高まりから、小売価格はさらに上昇傾向にある。フォードは最近、売れ筋のフル電動SUVマスタングマッハEの2023年モデルをグレードに応じて3200~8675ドル(約46〜125万円)値上げし、ピックアップトラックF-150ライトニングを6000~8500ドル(約86〜122万円)値上げした。
しかも、これはあくまで希望小売価格だ。サプライチェーンの問題や消費者の需要増加により新型車が品薄の状態が続いているために、少なくとも在庫があるところでは、新型EVは一般的に定価を上回る価格で販売されている。たとえばコンシューマーレポート誌によると、韓国起亜(キア)自動車のEV6は定価の20%増しで販売されるのが一般的だ。最も需要の高いモデルの中には、数千ドル(数十万円)の「販売店プレミア価格」が付いているものもある。
--{手頃なEVと高価なEV}--
この夏、EVの平均価格は6万6000ドル(約951万円)に達し、前年比14%増となった。これに対し、従来型の動力源を使うクルマの平均価格は約4万6000ドル(約663万円)だ。
2022年における最も手頃な価格の電気自動車は3万ドル(約432万円)台からで、これには販売店への配送料は含まれているが、オプション、税金、手数料、ディーラーでの値上げ分は含まれていない。
1. 日産リーフ:2万8495ドル~3万6495ドル(約410〜526万円)
2. ミニクーパーSE:3万750ドル(約443万円)
3. シボレー・ボルトEV:3万2495ドル~3万5695ドル(約468〜514万円)
4. シボレー・ボルトEUV:3万4495ドル~3万8995ドル(約497〜562万円)
5. マツダCX-30:3万4695ドル〜3万7705ドル(約500〜543万円)
6. ヒュンダイ・コナ・エレクトリック:3万5295ドル(約508万円)
以下に挙げるのは、米国で最も高価なEVだ。すべて10万ドル(約1440万円)以上の価格で始まっているかその範囲に達している。
1. ポルシェ・タイカン:8万4050ドル〜18万8950ドル(約1211〜2722万円)
2. ルーシッド・エア:8万9050ドル〜17万650ドル(約1283〜2458万円)
3. アウディRS e-tron GT:14万3895ドル(約2073万円)
4. テスラ・モデルX:12万2190ドル〜14万190ドル(約1760〜2019万円)
5. テスラ・モデルS:10万6190ドル〜13万7190ドル(約1530〜1976万円)
6. メルセデス・ベンツEQS:10万6952ドル~12万6895ドル(約1541〜1828万円)
7. GMCハマーEV:11万295ドル(約1589万円)