CDCの国立保健統計センター(NCHS)が公開したデータによると、米国の出生時平均寿命は2020年の77歳から2021年には76.1歳に低下し、1996年以降で最も短くなった。
ロイター通信によると、パンデミックによってこの2年間で米国の平均寿命は2.7年短くなり、過去100年近くで最も急な低下となった。
昨年はワクチンが普及していたにもかかわらず、平均寿命低下の原因の半分近くを新型コロナが占め、次いで不慮の事故(薬物の過剰摂取を含む)、心臓病、慢性肝疾患となっている。
2020年に死因トップ10から外れた自殺は、昨年の平均寿命低下の原因の上位5位に入っている。
また、2021年には男性の平均寿命が1年縮んで73.2歳に、女性は10カ月縮んで79.1歳となり、男女間で差が広がっている。
CDCが先に発表した2020年の平均寿命のデータによると、州別ではハワイが80.7歳で最も長くワシントン、ミネソタ、カリフォルニア、マサチューセッツと続く。2020年の平均寿命が最も短かったのはミシシッピで、71.9歳だった。
2021年には10万9000人が薬物の過剰摂取で死亡した。
民族別では、アメリカンインディアンおよびアラスカンネイティブの平均寿命は2021年に2.5年縮み、2020年から累積で6.5年という驚異的な低下となった。このグループの平均寿命は現在わずか65.2歳で、これは1944年当時の米国人の平均寿命だとCNNは指摘している。
白人の平均寿命は2020年から1年短くなって76.4歳になり、低下幅は過去2番目に大きい。昨年は白人の平均寿命の低下は最も小さかったが、黒人とヒスパニック系はパンデミックの影響を大きく受けた。2021年には黒人とヒスパニック系米国人の減少幅は小さくなった。CDCの追跡調査によると、新型コロナワクチンの接種率に関して白人は現在、黒人やヒスパニック系、アジア系に遅れをとっている。
昨年発表されたデータでは、他の国々でも新型コロナによって平均寿命が低下したことが明らかになった。英オックスフォード大学の研究者が行った調査によると、2020年のパンデミックは第二次世界大戦以降で最も急激な世界平均寿命の低下を引き起こしたという。デンマークやノルウェーのように平均寿命がまったく低下しなかった国がある一方で、米国が最も低下したという。
(forbes.com 原文)