持ち家信仰が強いとされる日本ですが、実際はどうなのでしょう? 総務省の統計によると、2018年時点での日本全体の持ち家比率は61.2%、富山県の76.8%が最も高く、沖縄県の44.4%が最も低い数値で、東京は45%だそうです。マンションはというと、最新の統計では東京23区の新築マンション平均価格は8449万円で、つまりバブル期を超え最高値となっています。
さて、そんな東京の都心で、なかなかの生活ができそうな60平米のマンションを手にするには、いったい何年働けば良いのでしょうか。世界の大都市とも比較しながら、データで発見してみましょう!
グラフを見ると、香港とパリがずば抜けています。UBSが発表した「世界不動産バブル指数2021」によると、サービス業で高い技能を持ち、平均的な給料をもらっている人が、香港の中心部にある60平米のアパートを購入できるのは20年後、パリでは17年後とされています。
ご覧のとおり、東京は13年後。この数字はPrice-to-Income比率、つまり各地の都心における<60平米のマンション平均価格÷高い技能を持つサービス業一般の平均収入>です。つまり、日常生活での諸々の出費を考えればさらに長く働く必要がありますし、誰かと共同で購入するという際にはその年数は短くもなります(住宅ローンを組まれている方にとっては「そんなの当たり前じゃないか」という話ではありますが)。
また、グラフで一目瞭然なのが、世界のほとんどの都市で、不動産市場が厳しい状況になっていることです。シンガポールは10年前の状況からはかなり改善しているようですが、それでもまだ東京と同レベルです。
ここでちょっと良い話を。上述のレポートではさらに多くの都市のPrice-to-Income比率が掲載されていますが、調査対象となっている中でこの数字が小さかった街を紹介してみましょう。マイアミは4年、ロサンゼルスが5年だそうです。わざわざ引っ越してまで住んでみたいかというと、筆者はちょっと分かりませんが……
その他では、ドバイ、ミラノ、トロントが6年、サンフランシスコが7年でした。住みやすい街ランクの常連であるフランクフルトも7年なのですが、今回の調査で「不動産バブル指数」のトップになっていますので、もし引っ越しをお考えでしたら要ウォッチですね…
働くための家なのか、家のために働くのか、いやいやこれらは不可分だから気にするな… 思わずそんなことを考え出しそうになります。持ち家願望なんてもう古い、これからは仮想空間でどこにでも住めるから… もちろん、それもアリですね。
それではまた次回、データで発見☆しましょう!
(世界最大級データポータル「Statista」の記事はこちら:Global housing market - statistics & facts)。